本研究は,対人恐怖症(社交不安障害)に結びつく児童期の対人不安(シャイネス)に着目し,その発生と維持に関わる心理発達的要因としての対人場面における認知の偏りとの関連を検討した。児童期後期の小学生393名を対象に,児童用シャイネス尺度と他者意図判断尺度を含む質問紙調査を実施した。その結果,シャイネス傾向に一貫する発達的変化は見られなかったものの,他者意図の肯定的解釈が発達に低下するとともに,シャイネス高群と低群でその時期に違いがあることが示唆された。同時に,自己を意識して不安になる自意識シャイネスが加齢により高まる傾向もみられた。以上の結果を心理発達的観点から検討するとともに今後の展望を論じた。
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