1.前年度に、日本ろうあ連盟と全国聾学校長会の協力を得て、全国のろう学校(聴覚支援学校)を対象に、児童・生徒とその家族が抱える心理的課題、心理的支援スタッフの導入や取り組みの状況と今後への期待を明らかにする目的で実施した「心理的支援スタッフについての調査」の結果を分析し、その概要を全国聾学校長会編の冊子「聴覚障害教育の現状と課題11」に投稿、報告冊子を作成し、関係機関に配布した。 2.前々年度・前年度につづき、京都市内にある聴覚障害者福祉施設において難聴成人を対象に実施されている「更生支援プログラム」の企画に参加し、心理スタッフによるグループワークの運営にかかわってきた。今年度はその詳細な記録を分析し、難聴者の抱えやすい心理発達上の困難や課題、適切な支援のあり方について検討し、その成果の一部を日本心理臨床学会で報告した。 3.アメリカ・NYのLexington School for the Deaf ならびに 47 The American Sign Language & English Secondary Schoolを訪問。Lexington Schoolでは、人工内耳装用児に関する近年の動向、とりわけ早期支援における変化と課題について情報を収集、47 Schoolでは、英語とアメリカ手話を公用語とする普通学校の教育システムについて学び、ろう児・人工内耳装用児・軽中等度難聴児・コーダが共に学ぶ実情について情報を得た。 4.軽中度難聴児、人工内耳児を含む聴覚障害乳幼児とその家族を対象とする早期支援プログラムの構築に向け、京都市聴覚言語障害センターと協力し、公開研修会や学習会を重ね、プログラム内容の具体化に向けて検討した。その成果として、平成27年5月より京都市聴覚言語障害センターのおいて手話を保障した早期支援活動「にじっこ(聴覚に障害をもつ乳幼児と家族の集い)」を開始する。
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