研究課題/領域番号 |
24530869
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
中村 菜々子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80350437)
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研究分担者 |
井澤 修平 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (00409757)
山田 クリス孝介 佐賀大学, 医学部, 助教 (70510741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ストレス / 労働者 / ストレス・マネジメント / パネル調査 / 認知行動療法 / 予防 |
研究実績の概要 |
研究全体では、当同社のストレスに対するセルフケアを阻害・促進する認知的要因の影響を検証することを目的とする。研究1・2では、労働者のセルフケア実施に対する態度を明らかにし、否定的・肯定的な態度がセルフケア実施や精神的健康に与える影響を、横断的(研究1)、縦断的(研究2)に検討し、次に研究3として、研究成果に基づき、労働者のストレスに対するセルフケア実施への態度を変容する介入方法を検討する計画である。 2012年度に研究1、2013年度に研究2を実施した結果をふまえ、2014年度は研究3を実施した。研究1および研究2の分析結果より、うつ病の典型症状を描写した単文に対する、原因と予後の評定(メンタルヘルスの知識)について、ストレスを過小評価する態度(セルフケアを阻害する認知的要因)の影響が認められ、ストレスを過小評価する態度が強いほど、うつ病であると評定せず、さらに、予後についてより楽観的に評定した。したがって状況評価に対する認知的要因への介入可能性の検討が課題であると考えられた。そこで2014年度はストレス状況に対する状況評価を楽観的にさせないような介入ツールを開発した。このツールを用いて実験を行うこととしたが、予備的な検討を行ったところ、デザインや分量等を見直す必要が考えられた。 そこで慎重を期すために、2015年度にマーケティングの専門家の意見を聴取した上で介入ツールを改訂した上で、改めてストレスを過小評価する態度が高い者と低い者を比較し、ストレスによる悪影響に関する情報提供や有効なストレス対象法に関する情報提供をどのように評価するのか、そうした情報提供によって態度や行動を変容し得るのかについて、実験による研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は計画通り順調に進んだ。分析の結果、介入ターゲットは「ストレス管理をしなくても、問題は起きない、という楽観的な認知を、「ストレス管理をしないと、この先健康に問題が起きる」といういわば悲観的な認知に変容することが有意な効果をもたらすことが推測された。2014年度はこの介入ターゲットを実際の介入によって変容させる教材作りを行ったが、楽観的な認知を悲観的な認知に変更することの難しさに直面した。慎重を期すために、2015年度にはマーケティングの専門家の意見を聴取した上で、実験を行うこととし、研究実施年を1年延長した。結果として、進捗状況はやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は研究3を実施する。研究1および研究2の分析結果より、うつ病の典型症状を描写した単文に対する、原因と予後の評定(メンタルヘルスの知識)について、ストレスを過小評価する態度(セルフケアを阻害する認知的要因)の影響が認められ、ストレスを過小評価する態度が強いほど、うつ病であると評定せず、さらに、予後についてより楽観的に評定した。したがって状況評価に対する認知的要因への介入可能性の検討が今後の課題であると考えられた。 2015年度は、研究3として、ストレスを過小評価する態度が高い者と低い者を比較し、ストレスによる悪影響に関する情報提供や有効なストレス対象法に関する情報提供をどのように評価するのか、そうした情報提供によって態度や行動を変容し得るのかについて、実験による研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
楽観的な認知を変容する教材作りが、研究結果を単に反映させるだけでなく、視覚的効果や内容の提示方法等の工夫が必要と思われ、そのためにウェブデザインやマーケティング専門家の協力を得る必要があると考えられたたため。
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次年度使用額の使用計画 |
打ち合わせによる旅費と、心理教育教材開発費のための経費、そして開発した教材の効果評価(調査会社に委託)が主な内容である。
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