研究課題/領域番号 |
24530872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
山崎 勝之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50191250)
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研究分担者 |
佐々木 恵 鳴門教育大学, 予防教育科学センター, 准教授 (10416183)
内田 香奈子 鳴門教育大学, 予防教育科学センター, 講師 (70580835)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感情 / ユニバーサル予防 / 小学生 |
研究概要 |
まず、教育プログラムにおいては、小学校3年生から6年生まで各学年8時間、合計32時間、4年間に渡る継続実施可能なプログラムの開発と修正を目指した。本研究者らは、「感情の理解と対処の育成」という名のもとに、情動・感情、認知、行動を総合的に扱ったプログラムの原型をすでに作成していたが、その原型をもとに各学年のプログラムを、情動からインプリシット感情、そしてエクスプリシット感情を十分に喚起し、その喚起下で高次心的活動を統合化するプログラムへと改善、修正した。 次に、プログラムの効果評価方法の開発においては、階層的に構成された本プログラム目標のうち、上位の目標の達成度を精度高く測定できる方法の作成を目指した。この測定法では、まず、信頼性と妥当性がそなわった自記式の質問紙の作成を行った。また、この自記式の質問紙は意識上の内容に限定された測定結果のみをもたらすという点で不十分であることから、意識下にある状態をとらえる必要があった。そのため、インプリシット感情の測定法の開発、さらには自分と友人にかかわる作文法から自然な状況でポジティブ、ネガティブな感情状態、加えて自己信頼心と他者信頼心を測定する方法を開発し、分析法と妥当性を検討した。 その結果、自記式の質問紙については、小学3年生から小学6年生まで実施が容易で、標準化度の高い質問紙が完成された。また、インプリシット感情の測定は、一部項目の修正や妥当性のさらなる検討を残したが、無意味線図を刺激に使用した新たな測定法を開発することができた。そして作文法では、自動解析の改善に課題を残し、筆記時間等でも改善点が残ったが、作文から感情と自己ならびに他者への信頼度を測定するという、自記式の質問紙のみに依存する測定法からの発展、拡充をはかることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は、教育プログラムの改善から完成、主要教育目標の達成度を測定する自記式質問紙の開発、意識ではとらえられないインプリシット感情の測定法ならびに作文法の開発であった。 教育プログラムはほぼ完成し、測定法では自記式質問紙の開発も完了し、インプリシット感情と作文法は、改良の余地を残しながらも実施可能な状態にまで作成を進めることができた。 この研究進展により、今年度の研究は「おおむね順調に進展している」との判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、完成された教育プログラムを小学校3年生以上の多くの学年で実施することになる。担任を中心とした学校教員との綿密な連携のもとに授業は実施される。授業実施後は、教育プログラムをさらに改善し、通常の学校授業での適用性の高い出来映えに高めていく。このさらなる改善により、プログラムは学校での恒常的継続実施に耐えるものにする予定である。 また効果評価は、完成された自記式質問紙を中心に適用し、この教育の効果を可能なかぎり科学的手続きを経て確認する。さらには、前年度に適用が可能なまでに高められたインプリシット感情測定法と作文法について、必要な改善を行いながら、実際の効果評価に使用するとともに、さらに測定法としての完成度を高めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の教育実施や教材作成での物品費と人件費・謝金を増やす必要が見込まれたため、平成24年度267,965円の予算を使用することとした。
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