研究課題/領域番号 |
24530872
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
山崎 勝之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50191250)
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研究分担者 |
佐々木 恵 北陸先端科学技術大学院大学, 保健管理センター, 准教授 (10416183)
内田 香奈子 鳴門教育大学, 予防教育科学センター, 講師 (70580835)
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キーワード | 情動・感情 / ユニバーサル予防 / 小学児童 / インプリシット感情 |
研究概要 |
まず、前年度に引き続き、作成された教育プログラムを改善し、一部実際に適用しながらさらに改善を加えた。学校のクラス単位で実施される場合、クラスにより児童の状態や特性が異なりクラス全体の動きも異なることから、どのクラスにも効率よく実施する汎用性の高いプログラムへの改定であった。 次に効果評価について、昨年度に手がけたインプリシット感情測定方法について、昨年度の信頼性と妥当性の分析結果に基づき、項目を修正して第2版の尺度とした。また、作文法についても、実施のための教示や作文時間を短縮するなど児童にとって負担が少なく、また分析にとって容易なものとした。その結果、インプリシット感情測定方法の信頼性と妥当性は高まり、より精度の高い尺度とし、作文法も現実的な適用度が高まった。また今年度から、児童の学校や学級での適応状況を広く測定するため、Q-U(Questionnaire-Utilities)検査を実施しすることとし、学校からのニーズにより適合するものとなった。 さらに今年度から、教育実施前1ヶ月の児童の変化を測定するため、教育前1か月、教育直前、教育直後の3回評価を実施し、その結果、教育を実施しない場合の変化と比較して、教育を実施した場合の効果が統計的に明確に提示された。このことにより、より科学性が増した評価になったと言える。 加えて、本年度においては、この教育の授業実施のために学校教員のための研修方法を考案し、実際に研修を実施した。その上で、担任教員を中心とした学校教員による授業実施を円滑に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作成された小3~小6までの教育プログラムを実際に適用しながら、さらにどのような学校クラスにおいても円滑に適用できる度合いが増した汎用性の高いプログラムに改善することができた。 また、インプリシット感情ならびに作文を精度の高い測定方法に改善することができ、さらにはQ-U質問紙の適用により総合的に学校や学級への適応を測定することができた。加えて、評価については、統制的な条件を設定した上での統計分析が可能となり、より科学的な評価の側面が増した。このプロセスの中、学校教員が教育を実施するための効率のよい研修方法も開発し、実際に適用することができた。 こうして、教育プログラムの改善、効果評価ツールと評価デザインの向上、さらには、授業実施者の研修方法の開発と適用へと順調に進んだことから、この達成度の判断となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、完成された教育プログラムを、学校教員により可能な限り多くの学校で実施していただき、このプログラムの実用性と効果の高さから普及度を高め、広範囲の学校での適用をはかりたい。ただし、汎用性の高さという点では、教育プログラムの改善は続行される。 また、開発がほぼ終わった、教育目標の達成度評価、インプリシット感情測定方法、そして作文法を、学校教育において児童の変化に鋭敏な尺度として利用を広めたい。 授業実施者としての学校教員の研修も、さらに多くの教員を効率よく研修できる方法とシステムへと改善を続ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費と謝金が、最終年度に予定より多く必要であることが予見されたため、昨年度の繰越金にほぼ相当する額を次年度の使用に回すことにした。 研究の最終年度で必要な物品費と謝金費に使用する計画をたてている。
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