研究実績の概要 |
不眠症を対象とする臨床研究に該当するため,介入を行う機関の倫理委員会の承認を受けた。 原発性不眠症と考えられる患者に対して,自律訓練法(AT)の指導を実施した。指導は日本自治津訓練学会の指導マニュアルに沿って行われたが,不眠症患者に特有の問題点を克服するため,一部を強調した。それは訓練中に睡眠におちいらないということと,日中も複数回の訓練を実施するということである。睡眠に入ってしまうと,夜間の睡眠の質を損なってしまう。日中も行うことで訓練になれATにより引き起こされる,自律状態への意識変容が容易になる。ただし,ここで強調したことは,指導法の修正というよりは,従来の方法を踏襲したことに留まる。 このような指導をした結果,参加した患者は睡眠状態において良好な結果を示した。具体的には,睡眠潜時の短縮,睡眠時間の延長,睡眠効率の上昇,日中の眠気の低下などである。 これらの結果は,ATの指導方法に関して,特別な修正なしに生起したことが特筆すべきことである。つまり,既にATの指導方法は日本自律訓練学会の主導により,その方法論が確立しており,同一の方法で指導することが出来る指導者を認定する性度が進んでいる。そのため多くの指導者が本研究で用いた方法を,患者に対して適用することが出来ることを示すものである。本研究をベースに,よりエビデンス・レベルの高い研究の実施が可能となると考えられる。
|