研究課題/領域番号 |
24530876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西郷 達雄 長崎大学, 保健・医療推進センター, 技術職員 (50622255)
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研究分担者 |
田山 淳 長崎大学, 保健・医療推進センター, 准教授 (10468324)
冨家 直明 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50336286)
林田 雅希 長崎大学, 保健・医療推進センター, 准教授 (70264223)
小川 豊太(濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80296186)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 認知行動療法 / 心理尺度 / GSA |
研究概要 |
本研究では,海外で開発されている消化器症状に対する不安(Gastrointesitnal symptom-specific anxiety : GSA)を測定することのできるVisceral Sensitivity Index (VSI)の日本語版の開発と信頼性・妥当性の検証を行った。その結果,VSI日本語版の十分な信頼性と妥当性が確認された。わが国でIBSの心理特性を把握できる安価で時間のかからない初の心理検査が作成された。 平成24年度では,以下①~③の作業を行った。 ①VSI日本語版の開発と信頼性・妥当性の検証:VSI日本語版作成にあたり,質問紙調査を2012年10月下旬から12月上旬に実施した。解析対象者は、大学生349名(男性207名,女性142名,平均年齢18歳)であった。解析の結果,VSI日本語版の因子構造は,先行研究と同様に1因子構造が確認された。VSI日本語版のCronbachのα係数を算出したところ,α = 0.93となり,十分な内的整合性が確認された。構成概念妥当性の検討のため,HAD-ANX,HAD-DEP,IBS-SI,ASI とGSA scale日本語版の相関分析を行った結果,理論的に想定された通りの結果が得られた。IBS症状の予測にVSI日本語版おける独自の効果を検討するために,IBS-SIを目的変数とする階層的重回帰分析を実施した。その結果, VSI日本語版で測定されるGSAは,IBS-SIに独自に影響を与えるという増分妥当性が示された。②GSA scale 日本語版開発研究の論文作成:①の研究結果をもとに論文を作成した。投稿する海外雑誌を選定中である。③プローブ検出課題の作成:PD 課題は先行研究に倣って作成するために,課題で用いる刺激を選定した。プローブ検出課題作成のためのプログラムおよび実験機器の選定をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成度については,概ね計画通りである。概ね計画通りであった点については,以下の理由が考えられる。平成24年度に実施する研究1において,VSI日本語版の妥当性検証のために,IBS有症状者を対象にPD課題を実施する予定であった。しかし,平成25年度に実施する研究2において,医師が診断をしたIBS患者を対象としてPD課題が実施できること,さらにIBSのサブタイプ(下痢型、便秘型、交代型)ごとの患者にPD課題が実施できるため,平成25年度にPD課題を移行したためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については,以下の通りである。 平成25年度:①6月から7月にかけて,研究1でIBS有症状者と同定された対象者(学生)の呼び出し作業を実施する。その後,医師(研究分担者)によるIBSと診断した患者を対象にインフォームドコンセントを行い,同意を得た者を研究協力者としてリクルートする。下痢型IBS患者20名,便秘型IBS患者20名,交替型IBS患者20名をそれぞれリクルートする②リクルート作業と並行して,6月から8月にかけてPD課題を作成し,予備実験を行う。③9月から11月にかけてIBS患者を対象にGSAの測定およびPD課題を実施する。④12月から翌年3月までデータの解析を実施する。 平成26年度:①4月から6月にかけて研究2の成果を論文にまとめ,投稿する。③4月から9月にかけて研究1および研究2で得られたデータを再解析し,VSI日本語版の利便性を検証する。②研究2で得られた研究成果を7月から9月に行われる海外で報告する。④1月から3月にかけて研究成果をまとめ総括をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に使用する予定の研究費としては,平成24年度でPD課題を作成する予定で研究費を計上していた心理学実験作成ソフトおよび手押しスイッチを購入する。VSI日本語版開発研究の海外雑誌投稿のための翻訳・校閲費と海外学会での発表のため,その旅費及び宿泊費として使用する。また,研究2のVSI日本語版と注意バイアスとの関連をみる研究の研究協力者への謝金にて使用する予定である。
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