本研究は、高齢者とのライフレビュー面接における「プロセス」を明らかにしようとするものである。ライフレビューが何を契機にして、どのように展開していくのかというプロセスと主要テーマ、ライフレビューが多様な効果をもたらすメカニズム、および健常群と認知症群のライフレビューの特徴について分析することを目的としている。 平成27年度は、平成26年度に引き続き某介護老人保健施設の協力を得て、デイケア利用者の中から研究目的に合致する高齢者のかたがたを推薦してもらい、実際にライフレビュー面接を行った。なお、対象者の基準は、ある程度の言語化能力と疎通性を有するかた、というものであった。 その結果、本年度は3名の高齢者がリストアップされた。そのうち健常群2名に各10回のライフレビュー面接を行った。その他、健常群の1名は、面接経過の途中で面接を拒否されて、10回に達しなかった。 研究成果の発表に関しては、平成27年度、事例研究として学会発表5件(日本家族心理学会、日本心理臨床学会、日本健康心理学会、日本理論心理学会、中国四国心理学会)を行った。また、論文として「認知症高齢者に対するライフレビュー面接10回法の臨床的検討―「こころの生涯学習」の向こう側を目指して―」(大分大学高等教育開発センター紀要第8号、2016)を発表した。さらに、本年度は最終年度につき、研究報告書を50部印刷し、関係機関に配布した。
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