研究課題/領域番号 |
24530884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
橋本 伸彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20534762)
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研究分担者 |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00190728)
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30347463)
仲秋 秀太郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (80315879)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / メタ認知 / 認知行動療法 |
研究概要 |
研究背景と目的:強迫性障害の確認行為には、記憶への不確実感が背後にある。このようなメタ記憶の歪みが確認行為を悪化させる。そこで、メタ記憶に関する介入を行い、その有効性を検討する。方法:行動療法をうけた確認強迫が主体の2人の患者である。行動療法と併用して、メタ記憶への介入を行った。以下の評価尺度を、治療前、治療後に評価した。他者評価尺度としては、治療効果の評価にはYale-Brown Obsession-Compulsion Scale (Y-BOCS)日本版を用いた。自記式調査票としては、日本版Responsibility Attitude Scale (RAS)およびResponsibility Interpretation Questionnaire (RIQ) を施行した。自己の記憶に関する確信度、記憶の鮮明さ、細部の想起を0-100の数字で評価させ、セルフモニタリングを行った。 結果:37歳男性で確認強迫が主体の患者は、治療後にY-BOCSが36点から18点に減少し、RASおよびRIQの得点も改善した。記憶に関する確信度、記憶の鮮明さ、細部の想起なども改善した。しかし、38歳女性で確認強迫以外に複数のdimension(洗浄強迫や対称性へのこだわり)がある患者は、Y-BOCSが32点から28点と変化なく、RASおよびRIQの得点も改善しなかった。記憶に関する確信度、記憶の鮮明さ、細部の想起なども変化なかった。 考察:メタ記憶への介入は、確認強迫が主体の患者の過剰な責任感やメタ記憶の歪みを改善が期待できる。しかし、確認強迫以外に複数のdimensionが併発し、不潔行為や対称性への確認行為がある患者では治療に反応しなかった。今後は症例数を増やして検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は強迫性障害の患者のメタ認知に関する多様な評価尺度とメタ認知的介入の治療プログラムを開発した。患者数例にメタ認知療法を施行し、その効果も検証したので順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
強迫性障害の患者のメタ認知に関する多様な評価尺度と高磁場頭部MRIや高次脳機能検査を施行する。開発したメタ認知療法の治療プログラムを用いたオープントライアルを行い、その有効性と実施可能性などを検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像解析ソフトの購入や画像のデータ解析と保存のため、大容量のデータ保存用ディスク(HDDなど)が複数必要である。研究計画の内容に関しての国内での打ち合わせに加えて、研究課題への学術的な見聞を広げるために、国際学会への参加も必要である。
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