研究課題/領域番号 |
24530885
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
足立 智昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30184188)
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研究分担者 |
伊藤 雄一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (40359857)
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
北村 喜文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80294023)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 幼児 / 積み木遊び / 加速度センサー / PTSD / ストレス / 唾液アミラーゼ |
研究実績の概要 |
最終年度は、津波の被害を受けた幼児と、被害を受けなかった幼児の積み木遊びの差異を、加速度センサーを実装した積み木を用いて詳細に分析すること、また、治療上ストレスを被ることが多い口唇裂口蓋裂児のデータを得ることを目的とした。 前者の目的のために、被災群17名と、対照群17名の積み木遊びの比較を行った。その際、積み木遊びを操作的に以下のように定義した:「自分のイメージを探るように、考えながら迷いながら積木を操作すること。結果的に操作の過程で不安定な積木の組み合わせ(積み木崩し)が出来ることが多い」。 その結果、被災群17名中4名、対照群17名中11名が、上記の操作的定義に一致する積み木遊びを行った。両群の比率は有意に異なった(Fisher直接確率検定:p=.0366)。次に、これらの幼児について、積み木遊びの前後で唾液アミラーゼ活性値(sAMY)を測定した。その結果、sAMYが下降した群は11名中10名、下降しなかった群は23名中5名が上記の操作的定義に一致した。両群の比率は有意に異なった(Fisher直接確率検定:p=.0002)。さらに、加速度センサーにより、積み木の位置情報、積み木の揺れ情報などを自動的に計測することに成功した。なお、口唇裂口蓋裂児群については、体調不良によるキャンセルや積み木遊びを途中で放棄する幼児が多く、データを得られたのは20中7名であった。 上記の結果を含め、研究期間全体を通して得られた成果は、以下のようにまとめることができる。(1)被災群と比較して対照群の方が本研究で定義する積み木遊びが有意に多く観察された。(2)視覚的な手がかりに基づいて積み木を操作したり、集中が途切れた対象児は、唾液アミラーゼ活性値の減少が有意に少なかった。(3)加速度センサーを実装した積み木を使うことにより、積み木遊びの計測の客観性と作業効率を飛躍的に高めることができた。
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