研究課題/領域番号 |
24530888
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
長田 由紀子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (70172781)
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研究分担者 |
長田 久雄 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (60150877)
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キーワード | ハンセン病 / ハンセン病恢復者 / ライフレビュー / 高齢者 / 終末期 |
研究概要 |
平成25年度は、国内のハンセン病療養所施設の一つである邑久光明園を訪問した。施設の見学、園長および看護師長との情報交換、入所者との会話に加えて、学生ボランティアによる入所者との交流会にも参加させて頂いた。邑久光明園は今回の研究対象ではないが、研究を進めるにあたって多くの示唆を頂くことができた。 また、本研究の対象である多磨全生園では語り部の方の話を複数回にわたって伺った。そして今後の研究に向けてスタッフと顔合わせを行い、平成26年度の所内勉強会への参加の承諾を得た。本研究会は、入所者の終末期医療においてどのように心理的な支援を行ってゆくかを検討するものであり、我々の研究の目的と合致するものである。 さらに、依頼を受けて機関誌である「ふれあい福祉便り第11号」に、「経験を知恵として後世に伝えるために」を長田久雄・長田由紀子の連名で投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、ハンセン病療養所入所者に人生回顧(ライフレビュー)を中心とした面接を行い、人生の語りを受け止め共感的に寄り添うことを通して、1)大きな葛藤を経験した人が過去と和解し人生を意味づけることを援助する、2)経験の「意味づけ」のプロセスを明らかにする、3)入所者の現在の希望や対応すべき課題を明らかにする、4)入所者の心の安寧と認知症の予防に向けて、傾聴活動を用いた具体的方法を検討する、5)傾聴を通しての聞き手の成長について考察することを目的としていた。 研究を進めていく中で、入所者の高齢化が進み予想以上に対象者が限られていること、施設内でも同様の研究計画が進んでいることがわかり、共同して研究活動をしてゆくことがより効果的な研究につながることがわかった。そこで、勉強会への参加を通して交流をはかり、無理の無い形で長期的に研究をしてゆくことが必要と思われた。さらに、実際の活動の中では所内のさまざまな部署での承諾が必要である。こうしたことに一つ一つ丁寧に対応してゆく必要があるため、研究計画の見直しをしつつ研究を進めている。本研究では、現場との信頼関係を重視し現場の意向を尊重して進めてゆくことは、必須の条件であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、所内の研究会に定期的に参加し、現場スタッフとともに入所者の終末期医療について意見を交換し合う。研究会は、入所者の終末期に向けての心理的サポートが一つの課題となっているので、その中で、共同研究の可能性を検討する。また、入所者のライフレビューを聞くという活動を通して生じる現場スタッフ側の変化についても、調査していきたいと考えている。これは、本研究の本来の目的の一つでもある。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は、調査施設と連携して慎重に進める必要があり、当方の計画を無理に推し進めることはしていないため。 調査対象者の所属する組織との連絡、信頼関係を深め、本年度は直接・間接的にデータ収集にあたる。そのための調査費用と、分析、データ整理に使用する。
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