研究課題/領域番号 |
24530899
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
大和田 攝子 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (10340936)
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キーワード | 遺族ケア / サポートグループ / 緩和ケア / 死別 / 悲嘆 |
研究概要 |
本研究は、緩和ケア病棟で家族を看取った遺族を対象とした遺族ケアプログラムの開発とその効果の検証を目的とする。研究代表者はこれまで研究協力者である医療機関(緩和ケア科)スタッフの協力を得て、遺族に対して死別直後から切れ目なくケアを提供できるようなプログラムを開発し、実践を行ってきた。本研究ではプログラムの一環として遺族サポートグループを実施し、その有効性と役割、および限界についてさまざまな側面から総合的に検討する。 本年度は、平成24年度と同様、遺族サポートグループの有効性を確認するため質問紙調査を実施した。対象は平成23年10月から平成24年9月までの1年間に緩和ケア病棟(在宅緩和ケアを受けた者も含む)で家族を看取り、死別後6ヶ月以上経過した遺族343名である。調査に使用した尺度は、複雑性悲嘆をICG、気分・不安障害をK6、人間的成長を成長感尺度により測定した。研究代表者が運営している遺族サポートグループは、年度ごとに参加者を募り、当該年度の4月から翌年3月までの1年間、月1回(全12回)定期的に開催している。グループ参加者には、グループ開始前(初回調査)とグループ終了時(追跡調査)に調査用紙を配布した。また、サポートグループに参加していない遺族(対照群)にも同様の調査を実施した。その結果、初回調査、追跡調査ともに回答の得られた62名(参加群6名、対照群56名)を分析の対象として、現在、集計段階に入っている。 また、本年度の研究計画として、遺族サポートグループの各セッションにおける参加者の発言内容をICレコーダーを用いて録音し、逐語記録としてデータ化することを挙げていた。ただ、2月は大雪のため中止となり全11回の開催となったが、これらの作業はほぼ予定通り進めることができた。次年度はこれらの逐語記録を質的研究法により分析するほか、インタビュー調査も実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺族サポートグループの有効性を検討するための質問紙調査を実施できたこと、また遺族サポートグループの各セッションにおける参加者の発言内容を録音し、逐語記録としてデータ化できたことは、本年度の成果だと考える。ただ、遺族サポートグループへの参加者数が予想していた人数よりも少なかったことが問題点として挙げられる。研究計画に記したグループ参加者数の目標は30名であり、平成24年度に実施した遺族サポートグループの参加者を合わせても目標を大きく下回っている。 このようにグループ参加者数の問題はあるものの、本年度の目的は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、データ化された逐語記録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づき分析する。遺族サポートグループに参加することで何がどのように変化するのか、またグループは参加者にとってどのような役割を果たしているのかについて明らかにする。また、遺族サポートグループの参加者(中断した者も含む)にインタビュー調査を実施する。グループ参加者にはグループの役割と問題点について、途中で参加を中断した者についてはその理由などを聴取する。最終的には、これらの研究成果を学会等で発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度分の助成金がなければ支払えないため。 逐語記録のデータ化に伴う報酬、インタビュー協力者への謝金および交通費、研究発表のための旅費などに充てる予定である。
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