本研究の目的は、緩和ケア病棟で家族を看取った遺族を対象とした遺族サポートグループの有効性と役割および限界について検討することである。 平成24年度および平成25年度は、月1回(全12回)のプログラムを実施し、参加者にはグループ開始前(初回調査)とグループ終了時(追跡調査)に調査用紙を配布した。また、サポートグループに参加していない遺族(対照群)にも同様の調査を実施した。その結果、遺族サポートグループは複雑性悲嘆など精神症状の軽減に有効であることが示唆された。 平成25年度および最終年度は、サポートグループに参加していた遺族にインタビュー調査を実施し、遺族サポートグループの役割と限界について聴取した。その結果、遺族サポートグループの役割として、「同じ境遇だからこそ何でも話せる場」であると同時に、「悲嘆についての知識を得る場」としても機能していることが明らかになった。その一方で、サポートグループへの参加を途中で断念した遺族もおり、その理由としてニーズの違いによるものや同質の喪失体験を持つ人がグループ内にいない場合に生じやすい疎外感や孤立感によるもの、他のメンバーの言動による傷つきなどが挙げられた。 また、遺族サポートグループにおける参加者の語りをデータ化し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析した。その結果、遺族サポートグループにおける参加者の心理プロセスが明らかになり、サポートグループはそれらの変化を促進する要因となっていることが示された。
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