本研究は、精神病の認知行動療法を本邦の精神科臨床現場に普及するための支援として、声(幻聴)に対する認知行動療法ワークブックを開発することを目的として、3つの研究を行った:1)効果測定に有用なPsychotic Symptoms Rating Scale(PSYRATS)日本版を作成し、信頼性・妥当性の検討を行ったところ、十分な内的一貫性、評価者間信頼性、併存的妥当性が認められた。2)幻聴低減に影響を与える介入可能な心理学的要因について検討し、メタ認知(特に認知的柔軟性)の重要性が示唆された。3)文献レビューおよび研究2の結果から、幻聴への対処ワークブックを作成した。
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