研究課題/領域番号 |
24530905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
増井 幸恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10415507)
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研究分担者 |
高橋 龍太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (20150881)
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 老年的超越 / 虚弱 / 心理的適応 / 精神的健康 / 高齢期 / 超高齢期 |
研究概要 |
【目的】虚弱への心理的適応をとらえるバックグラウンドして,先行研究で行われてきた虚弱の3つの定義、①身体・運動機能を中心にとらえる虚弱、②知覚・認知機能を中心にとらえる虚弱、③疾患を中心にとらえる虚弱,のいずれの定義が適切かについて検討を行った.このうち,特に,①身体・運動機能を中心にとらえる虚弱,老年的超越および心理的適応との3者関係を検討した.なお,調査は平成23年度までに実施し,本年度はその分析を行っている. 【方法】関西・関東の都市部・非都市部の計四地域において,前期高齢者1000名(年齢範囲: 69-72歳; 男性479名,女性521名),後期高齢者973名(年齢範囲78-82歳; 男性456名,女性517名)を対象に会場招待型調査を実施した.調査内容は,年齢,性別,教育年数,配偶者有無を用いた。身体機能としては,バランス,歩行,椅子からの立ち上がりを実施し,Guralnik et al.(1994)を参考に得点化した。老年的超越の測定には27項目8因子からなる老年的超越尺度短縮版(増井ほか, 2010; Nakagawa et al., 2012)を用いた.主観的幸福感の変数としては,主観的幸福感として人生満足感 (Diener et al., 1985; 角野, 1994)と肯定的・否定的感情(Mroczek & Kolarz, 1998; 中原, 2011)の3側面を尋ねた。 【結果と考察】肯定的感情に対して身体機能と社会的自己からの脱却に有意な交互作用が見られ,身体機能が低い場合に老年的超越のプラスの影響が強くなることが示された.このことは,身体機能の低下中心の定義は,老年的超越の適応機能をみるのに適していることを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
虚弱の定義のうち①の身体中心の定義の問題についてのみ検討ができた.今後早急に②,③の虚弱の定義の検討を行い.25年度からの追跡調査にはいっていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
まず,早急に今年度と同様の分析を,②知覚・認知機能を中心にとらえる虚弱、③疾患を中心にとらえる虚弱についても実施する.その上で,Eriksonの第9段階仮説の検証のために、平成25年度には平成22年度に実施した70歳コホートの3年後の追跡調査を実施する.対象者,初回調査に参加した70歳コホーと1000名、死亡が確認されていない対象者全員に調査依頼状を送付する。調査方法は会場招待型の面接調査を中心に、追跡率向上のため対象者からの要望があれば訪問調査も併用する。測定変数は,初回調査(前頁参照)と同様の変数を測定する。結果の分析は,初回調査と追跡調査の間の、①身体的問題(虚弱)の発生、②精神的健康の変化、③老年的超越の変化を測定し、3者間の因果関係を検討する
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は70歳コホート500名の会場調査を実施するため被験者謝品費および調査実施人件費として115万円を計上する.また,調査データの入力委託費として15万円,関西・関東で実施される調査の旅費として50万円,その他,調査実施のための案内状の送付にかかる消耗品費として15万円を計上する.
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