研究課題
①80歳コホートデータを用いたFriedの虚弱の基準(Fried,ら 2001)により虚弱者の抽出の妥当性の検討、および②平成22年度に実施した70歳コホートの3年後の追跡調査、の2つを実施した。①については、平成23年度の80歳コホートデータ(N=973)を用いて、Friedら(2001)の基準により虚弱度の分類を行った。a.体重減少、b.疲労感、c.歩行速度、e.握力、e.活動量のそれぞれで条件に当てはまるかを検討し、5つの基準中3つ以上該当する者を「虚弱」、1~2をを「準虚弱」、0を「問題なし」とした。各カテゴリの出現頻度は、「虚弱」4.8%、「準虚弱」5.4%、「問題なし」41.8%であった。また、各カテゴリ別の手段的自立の得点差を検討したところ、「問題なし」群>「準虚弱」群>「虚弱」群の順で有意に得点が高いことが示された。また、この3群の精神的健康(WHO-5)の差を検討したところ、「問題なし」群は「準虚弱」群および「虚弱」群よりも有意に得点が高いことも示された。②については、平成22年度の調査参加者1000名のうち995名の住所が判明した。このうち634名(男性314名、女性320名)が調査に参加した(追跡率63.4%)。これらの参加者に対して平成25年7月から平成26年3月にかけて会場招待型調査を実施した。収集した変数はほぼ平成23年度調査と同じである。老年的超越の8つの下位因子を従属変数として、独立変数に測定回(平成22年と平成25年)を被験者内要因、性別を被験者関要因とした分散分析を行ったところ、「社会的自己からの脱却」および「無為自然」の2つの下位因子では平成22年よりも平成25年度の得点が有意に高いことが示された。一方、「ありがたさ・おかげの認識」、「生得的な肯定感」、「利他性」については平成22年よりも平成25年の方が有意に低いことが示された。
2: おおむね順調に進展している
追跡調査については70歳コホートについては既に600名を超える参加者を確保できた。また、今年度、実施する80歳コホートの追跡調査スケジュールについても、既に決定しており、調査の実施についてはほぼ問題なく可能であると考えられる。一方、虚弱についての判定基準については、平成22年度、平成23年度に収集した医学変数(罹患疾患の確定や血液の生化学指標)の確定が遅れ、研究の進行が遅れている。しかし、平成25年度末にデータ整理が終了し、80歳の初年度データからの虚弱の判定がようやく可能となった。今後は精力的に分析を行っていく必要がある。
平成26年度には平成23年度に実施した80歳コホートの3年後の追跡調査を実施する。収集する変数は平成23年度に実施した項目とほぼ同じである。平成25年度に実施した70歳コホートの追跡データと合わせて、初回調査で発見されていた、および追跡調査で発見された虚弱の状態、老年的超越の3年間の変化、精神的健康や心理的well-beingの変化の3者関係を検討し、総合的な仮説の検討を行っていく。
会場調査におけるアルバイト調査員の雇用について予定雇用人数に達しなかったため。平成26年度の調査におけるアルバイト調査員の賃金に用いる。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
老年社会科学
巻: 35 ページ: 49-59
巻: 35 ページ: 365-373
心理学研究
巻: 84 ページ: 37-46
パーソナリティ研究
巻: 22 ページ: 13-22
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/kenkyu/keizoku/sonic.html