本研究の目的は、顕在的セルフ・アウェアネスの3水準(同一視、永続的、外的)のうち最高水準である外的水準を測定する課題を新たに開発してRochatモデルを再検証すること、及び、高機能自閉症児では、顕在的セルフ・アウェアネスの分化過程で、外的水準の達成が著しく遅れる(あるいは変容している)という仮説を検証することであった。その結果、(1)外的水準の獲得は定型発達児では4歳前後と推定されること、及び、(2)高機能自閉症児では自己が当事者である場合の因果関係の理解に難点があることから、9歳でも未だ顕在的セルフ・アウェアネスの外的水準に達していないこと(すなわち著しい遅延があること)が示唆された。
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