研究課題/領域番号 |
24530909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (30282312)
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研究分担者 |
一谷 幸男 筑波大学, 人間系, 教授 (80176289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PTSD / ラット / 恐怖条件づけ / グルココルチコイド / アドレナリン受容体 |
研究概要 |
本年度は、ラットのストレス誘発性恐怖反応増強における視床下部―下垂体―副腎皮質ストレス反応(HPA)系の役割を検討するために,HPA系の最終反応であるグルココルチコイド分泌を抑制するmetyraponeおよびdexamethasone投与の効果を検討した。またグルココルチコイドの嫌悪性情動記憶促進効果にはストレス反応としてのノルアドレナリン分泌が関与しているという報告があることから,βノルアドレナリン受容体遮断薬であるpropranolol投与の効果も合わせて検討した。Wistar-Imamichi系雄ラットを被験体として、フットショック(1.0 mA, 1s×4回)と強制水泳(20分間)を組み合わせた複合ストレスを与えた。この複合ストレス処置の15分前に,metyropone(25, 50 mg/kg),dexamethasone(0.4 mg/kg),propranolol(10, 20 mg/kg)あるいは生理食塩水のいずれかを腹腔内投与した。複合ストレス処置から2週間後に複合ストレスを与えた装置とは文脈の異なる装置で文脈恐怖条件づけ(0.1 mA, 2 s)を行い、その翌日、1週間後および2週間後に保持テストを行った。その結果、いずれの薬物処置によってもストレス誘発性恐怖反応増強がみられ、複合ストレス時に分泌されるグルココルチコイドおよびアドレナリンは、その後の恐怖反応増強に関与していない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度については、交付申請書に記載した計画通り実験を遂行できた。しかしながら予想に反して、トラウマストレス時に分泌されるグルココルチコイドあるいはアドレナリンが、ストレス誘発性恐怖反応増強に関与しているという証拠は得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度以降は,CRHの中枢作用がストレス誘発性恐怖反応増強効果に関与しているのかどうかを検討する。24年度の結果から、HPAストレス反応系のうち、複合ストレス時に副腎皮質から放出されるグルココルチコイドは、恐怖反応増強に関与していない可能性が考えられた。CRHはHPA系の活動を調節する主要なペプチドであるが,脳内,とりわけ扁桃体や海馬において中枢作用を持ち,不安や情動,嫌悪性情動記憶の調節に関与していることが示唆されている。そこで本研究では,複合ストレスによる恐怖反応増強効果にこのCRHの中枢作用が関与しているのかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラットを用いた実験を行うため、消耗品として動物購入費用および飼育に要する費用が必要となる。また、薬物や実験器具(消耗品)も購入予定である。成果の一部を発表するために、海外および国内の学会への参加のための旅費が必要である。
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