ラットが強いストレスを受けると,その後の条件性恐怖反応が増強する現象は,心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有用な動物モデルと考えられている。本研究では,強制水泳とフットショックによる複合ストレスを用いて,ラットの条件性恐怖反応のストレス誘発性増強における視床下部ー下垂体ー副腎皮質ストレス反応(HPA)系の関与について検討した。HPA系を操作する様々な薬物を複合ストレス前に投与し,その後の条件性恐怖反応を観察したところ,HPA系は,複合ストレス時にグルココルチコイド受容体とアドレナリンβ受容体の賦活が相補的に作用することで,ストレス誘発性恐怖反応増強の成立に関与していることが明らかになった。
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