マウスを用い、思春期のニコチン投与が成熟後の認知機能にいかなる影響を及ぼすかについて検討した。テストには場所学習課題と単純反応時間課題を用いた。その結果、思春期にニコチンを投与されたマウスは、投与されなかったマウスと同様に、空間学習を速やかに習得した。しかしながら、ニコチン投与マウスは逆転学習において障害を示した。単純反応時間課題では、衝動的行動はみられなかったが、注意障害を示した。また、ニコチン投与マウスの前頭前野における樹状突起の長さと広がりに不全がみられた。これらの結果から、マウスにおける思春期ニコチン投与は脳形態の長期的変化と永続的な認知機能障害をもたらす可能性が示唆された。
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