記憶や学習の能力は、血圧の低下によってどこまで影響を受けるのか。遺伝的に高血圧を発症するラット(SHR)と、健常な血圧水準を示す比較群(WKY)の2種類のラットを用いて、数秒から20秒程度までの記憶の保持の成績を調べる実験を行った。その結果、血圧の低下によって、記憶の保持に阻害的な影響を受ける可能性が示されたものの、その効果の大きさは比較的小さく、この実験の血圧操作の範囲に限って言えば、記憶の機能は、ある程度保たれていたと考えられる。この課題に関しては、ラットの種類による成績の差はなかったものの、より初歩的な学習課題では、特に、反応の速さに関して、ラットの種類の間の違いを認めた。
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