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2012 年度 実施状況報告書

複数対面コミュニケーション状況下での視線知覚制御特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24530921
研究種目

基盤研究(C)

研究機関工学院大学

研究代表者

蒲池 みゆき  工学院大学, 情報工学部, 准教授 (70395101)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード視線制御 / 注意 / 視線知覚
研究概要

実場面,および広域ディスプレイ上に配置された複数顔に対し,知覚者からの空間的位置に応じて変動する視線知覚特性を明らかにする.特に,これまで1対1の対面状況で検証された視線定位(どこを見ているか),自他判断課題(自分を見ているか否か),および視線調整(自分や他の人物と目が合うように調整)するという3つの異なる課
題を拡張し,新たに広域な空間配置についての検討を行った.なお,これら三つの課題遂行時,被験者の眼球運動および頭部運動を同時に取得する.人間の目は,白目と黒目の部分の輝度変化に高い感度をもち,特に水平方向に対する知覚感度が高いとされている.視線知覚に感度が高い水平方向に複数他者の顔が配置されている場合,顔に特異的に応答する紡錘状回や,視線知覚との関与が指摘されているSTS などの視覚領野に抑制もしくは促進の応答がある可能性がある.
取得されたデータは,次年度以降の運動解析に用いられ,条件の異なる場面での眼球運動や頭部の運動の解析的手法を行う.例えば,側面から人物が自身に向かって歩いてくる場合や,飛来してくる物体の速度などに応じ,知覚者の眼球・頭部運動に変動がみられると予測する.
上記場面を想定した人間の運動検出に関わるメカニズムの解明として,本年度は新たに「不注意による運動検出感度の向上」という新たなプロジェクトに取り掛かることができた.研究補助者が日本視覚学会,日本基礎心理学会において,それぞれ発表賞を受賞するなど,先進の知見であることが認められ,論文執筆に当たっている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年次にあたる平成24年度は,広域提示装置の導入に伴い,提示刺激の設定や実験条件設定などにやや時間をとられた.しかしながらこれまでの研究成果をもとに,次年度以降確実な実験条件を整えることができた.また,研究成果は複数の国際学会,研究会,受賞など大いに挙げることができ,今後の発展につながる可能性が高いと考えている.

今後の研究の推進方策

平成24 年度に取得された知覚実験でのデータ遂行中,配置された顔の空間位置,および提示タイミングを記録した.さらに,それぞれと同期した被験者自身の眼球および頭部の運動を記録した.観察される運動波形は,申請者らが提案する波形類似度計算手法により,系統的な運動ベクトル解析を行うよう準備を進める.昨年度の進捗をふまえ,多重課題時の拡大・縮小運動に注意の処理資源配分からの検討を加えたこれまでの知見をもとに,中心視野での視線知覚を行いながら,接近する他者に対しての検出感度なども合わせて測定する.たとえば,中心付近に注意を伴う課題を遂行している場合,これまでの多くの知見からは周辺の運動検出が悪くなるという報告が多い.一方,詳細な感度を測定したわれわれの研究成果では,一定の条件下では,注意を他に奪われることによって運動の統合感度が上昇するという結果を得ている.これらの知見を十分踏まえた上での実験が進められるよう,計画を遂行し,成果を挙げたいと考えている.

次年度の研究費の使用計画

次年度は,装置が前年度におよそ整ったことから,実験の遂行を中心に進めていく.また,得られた成果の迅速な公表に勤めるため,国際学会および論文執筆,英文校正,実験協力者への謝金等に使用のための費用として本研究費を利用させていただきたい.国際学会はVision Sciences Society Meeting 2013での発表がすでに受理されており,5月に米国フロリダへ海外出張旅費として計上予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] 不注意による運動検出感度の向上

    • 著者名/発表者名
      石井太一, 本吉勇, 蒲池みゆき
    • 学会等名
      日本視覚学会2013年冬季大会
    • 発表場所
      工学院大学(東京)
  • [学会発表] 注意の剥奪は全体運動の検出を促進する

    • 著者名/発表者名
      石井太一, 本吉勇, 蒲池みゆき
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第31回大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡)
  • [学会発表] Human Visual Processing for Communication

    • 著者名/発表者名
      Miyuki Kamachi
    • 学会等名
      The 11th nternational Symposium on Advanced Technology
    • 発表場所
      工学院大学(東京)
  • [学会発表] Relationship between imitating an expert's motion and improved motor skills

    • 著者名/発表者名
      Yuya Akasaka and Miyuki G. Kamachi
    • 学会等名
      European Conference on Visual Perception 2012
    • 発表場所
      Alghero, Italy
  • [学会発表] Is a detection of gaze direction of a person in front affected by the presence in the peripheral view?

    • 著者名/発表者名
      Motoyuki Takai and Miyuki G. Kamachi
    • 学会等名
      European Conference on Visual Perception 2012
    • 発表場所
      Alghero, Italy
  • [学会発表] Voluntary disattention facilitates global motion detection

    • 著者名/発表者名
      Miyuki G. Kamachi, Taichi Ishii, and Isamu Motoyoshi
    • 学会等名
      Vision Sciences Society
    • 発表場所
      Naples, United States

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公開日: 2014-07-24  

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