コミュニケーション活動における視線や顔の表情の研究は、主に1対1の対面状況を想定しながら研究が進められてきた。本研究では、複数人数を相手にした場合の視線知覚特性を調べるための心理物理実験を行い、対人間距離や方位、複数人物の視線の向きを合算する場合の視線制御・知覚特性を解明した。心理物理指標として、視線の向きの知覚課題に加え、頭部や視線の方位計測、3次元モデルでの刺激制御などを新規に導入し、自然なコミュニケーション場面を包括的に実測することで、新たなデータの解析が可能となった。さらに、観察者の注意が視野全体の局所的、大域的にどのようなメカニズムを持つかについて、新たな知見をもたらす研究となった。
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