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2013 年度 実施状況報告書

認知の左右差における生物学的要因と文化的要因の相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 24530923
研究機関専修大学

研究代表者

大久保 街亜  専修大学, 人間科学部, 准教授 (40433859)

キーワード左右差 / 認知 / 文化比較 / 利き手
研究概要

本研究では,日本,オーストラリア,ノルウエーの3カ国にまたがり文化比較を行う。特に大脳半球機能差に起因する認知や行動の左右差に焦点をあて,文化的要因と神経機構に由来する生物学的要因の相互作用について検討する。
平成25年度は,ノルウエーにおいて表情認知において生ずる左右差のデータを取得した。表情の左右差に関して行った研究は論文がBrain and Cognition誌に採択された。また,ノルウエーに短期間であるが滞在し,共同研究者とディスカッションを行うとともに,データ取得の準備を行い,その後の方針についても確認を行った。現在,日本とノルウエーのデータを直接比較を行った研究について論文を執筆中である。
オーストラリアとの共同研究については,オーストラリアで共同研究者が開発したフランダース利き手検査の日本語化を行った。これまで日本で用いられてきた質問紙式の利き手検査は,質問紙として信頼性や妥当性が充分でないものであったり,日本国内のみで用いられてきたものであった。これらは利き手という左右差について文化比較を行うために適切な検査ではない。そのために,今回,フランダース利き手検査の日本語化を行った。我々は日本人大学生を対象に調査を行い,我々が作成した日本語版が高い信頼性と妥当性を有することを確認した。フランダース利き手検査は,イタリア語,フランス語,広東語,北京語などにも翻訳が進められており,日本国内のみで通用する利き手検査ではない。国際的な文化比較に使用する利き手検査として今後スタンダードなものになると考えられる。この成果は,平成26年度の日本心理学会大会で発表される予定である。また,その詳細をまとめ資料論文として日本国内の論文誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オーストラリア,ノルウエー,日本の3カ国で文化比較を行う計画のため,それぞれの地域の研究機関で同様に統制された環境を設定することに困難が伴う。また,実証的な研究では,取得したデータが必ずしも予想と一致するとは限らない。予想と一致しない部分のあるデータは,手にしたデータだけではしばしば解釈が定まらないときがある。現在,オーストラリアで取得したデータについて,追加データが必要となっている。データ取得の計画は順調に進んでいるが,現時点では,データが不十分なためデータの解釈が定まっていない部分がある。ただし,追加データをとるために,新たに日本語版の利き手検査を開発するなどの成果も得られた。本研究において,追加データをとることは,単に研究の手間が増えたことを意味するのではなく,今後の研究にも役立つような成果を同時にあげることにもつながった。
ノルウエーとの共同研究については,基礎データの収集がおおよそ終了した。この段階で,すでにいくつも興味深い発見があり,それらを2本の論文として国際的な学術論文誌に掲載することが出来た。これらの知見をもとにしっかりとした基盤を築いたうえで,現在,文化比較の研究に進んだ段階である。ノルウエーとの文化比較についても,すでにデータは集まりつつある。これらをオーストラリアのデータと比較検討することで,認知の左右差について新たな知見を得ることができると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成26年度はこの研究の最終年度にあたる。オーストラリア,ノルウエー,日本の3カ国で得られたデータに基づいて,認知と行動の左右差にあたえる文化的な要因と生物学的な要因について,理論化を行う予定である。現在,すでに多くのデータが集まっており,予備的な分析が進んでいる。その過程で,解釈を充分に確定できない部分について追加データがいくつか必要となっている。今年度,理論化と追加データの収集を並行させて行う予定である。また,予備的な分析の一部については,その分析結果の主に現象面に焦点をあて,すでに論文を執筆中である。解釈の確定に必要な追加データの収集を行うあいだに,その論文を完成させる予定である。
なお,3カ国にまたがる共同研究には,移動のための旅費がかかる。加えて,3つの文化を比較するため,単純にひとつの文化内で行った実験の3倍のデータが手元に残ることになる。このデータの取得と分析には,どうしても人の手が必要となる。データの取得も分析も専門知識が不可欠なため,大学院生など研究に関する基礎知識を持つものに謝金を払い協力をしてもらうことになる。また,彼らが分析を行うために,パーソナルコンピュータや周辺機器そして統計解析用のソフトウエアを購入する必要がある。また,平成26年4月のWIndows XPサポート終了に伴い,この研究においてデータの分析に用いてきた現有の機器のいくつかが使用できない状況となっている。そのため,さらに分析のための機器を購入する必要がある。

次年度の研究費の使用計画

本研究では,文化比較のためオーストラリアやノルウエーなどを訪れる必要があり,旅費が多くかかると。また,研究計画時は夏期休暇期間に比較的長く滞在する予定をたてており,平成25年度には多くの滞在費がかかる予定であった。しかし,今年度は共同研究者の都合もあり,滞在時期を6月,期間を1週間程度としたため,旅費が予定よりも少なくなった。
平成26年4月のWIndows XPサポート終了に伴い,本研究においてデータの分析に用いてきた現有の機器のいくつかが使用できない状況となっている。そのため,さらに分析のための機器を購入する必要がある。WIndows XPサポート終了に伴う,機器の購入は研究計画当初は予定していないものであった。この予定にない出費に,差額分を当てたいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] No trust on the left side: Hemifacial asymmetries for trustworthiness and emotional expressions2013

    • 著者名/発表者名
      Matia Okubo, Kenta Ishikawa, and Akihiro Kobayashi
    • 雑誌名

      Brain and Cognition

      巻: 82 ページ: 181-186

    • DOI

      10.1016/j.bandc.2013.04.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Grotesque Impressions Enhance the Gaze Cueing Effect2013

    • 著者名/発表者名
      Matia Okubo and Yingda Jiang
    • 雑誌名

      International Journal of Social Science Studies

      巻: 1 ページ: 222-229

    • DOI

      10.11114/ijsss.v1i1.72

    • 査読あり
  • [学会発表] Smile intensity and hemifacial asymmetry for perceived trustworthiness2013

    • 著者名/発表者名
      Matia Okubo, Kenta Ishikawa, and Akihiro Kobayashi
    • 学会等名
      2013 Psychonomic Society Annual Meeting
    • 発表場所
      Sheraton Centre Hotel in Toronto
    • 年月日
      20131114-20131117
  • [学会発表] A smile enhances male facial attractiveness for long-term relationships but not for short-term relationships2013

    • 著者名/発表者名
      Matia Okubo, Kenta Ishikawa, and Akihiro Kobayashi
    • 学会等名
      9th International Conference on Cognitive Science
    • 発表場所
      Hilton Kuching Hotel, Kuching, Sarawak, Malaysia
    • 年月日
      20130827-20130830

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公開日: 2015-05-28  

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