研究課題/領域番号 |
24530928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
藤田 知加子 南山大学, 人文学部, 准教授 (70300184)
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研究分担者 |
小河 妙子 東海学院大学, 人間関係学部, 准教授 (30434517)
吉橋 由香 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (30436977)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単語認知 / 同音異義語 / 漢字二字熟語 |
研究概要 |
本研究は,日本語の視覚的単語の特色に着目して,標準的な単語認知課題を用いて行動指標(反応時間・誤反応率)を測定する実験を複合的に実施するとともに,そのような行動指標に現れる前の処理過程についても検討するために,眼球運動の軌跡を測定する実験を行うことを計画している。また,これらの実験に必要な刺激材料の整備のために,実験対象となる大学生,小学生,日本語学習者を対象とし,単語を示すアイコンに関する調査を実施することを予定している。 なかでも本年度は,次年度以降の視線追跡装置を用いた実験で使用するアイコンに関する調査,および大学生を対象とした標準的な単語認知課題を用いて行動指標(反応時間・誤反応率)を測定する実験を予定していた。 アイコンの調査は,調査対象とする単語群の選定とアイコンの作成に,予定していたよりも時間が必要であった。そのため,計画よりも調査の実施時期が遅れたが,24年度3月に小学生を対象とした調査を実施するに至った。小学校6年間で学習する5000程度の漢字二字熟語のうち,同音異義語を持ち,かつそのどちらの熟語もアイコン化可能であった106語に対して,読みの既知性,意味の既知性,語の親近性,アイコンの妥当性などの評定が行われ,材料を選定する際の基礎的データが収集された。アイコンの妥当性評定値(Max=7.0)が5.5以上であった語は90語であり,内同音異義語の熟語対がいずれも5.5以上であったものは39対であった。今後はこれらの熟語対を用いて,視線追跡装置を用いた実験を実施する。 大学生を対象とした実験については,24年度末に実験の準備が整い,近々データ収集と分析が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記述した内容と一部重複するが,漢字二字熟語のアイコン化にあたり,小学生が6年間に学習する漢字二字熟語を主要教科の教科書から入力すること,およびその中からアイコン化可能な熟語を選択し,アイコンを作成することに計画以上に時間を必要とした。そのため,当初予定していた認知実験の準備が,年度末にまでずれ込むこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
実施がずれ込んでいる認知実験に加え,当初の計画通り,視線追跡装置を用いた実験も順次行う予定である。具体的には,8月を目処に視線追跡装置を用いた実験実施のための実験プログラムの完成をめざし,年内に大学生を対象とした実験を行う。続いて,小学生あるいは留学生を対象とした同様の実験も年度末を目処に行う予定である。したがって,研究計画は申請時の内容より変更することなく推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アイコンの調査および認知実験などの実施が計画よりも遅れたため,それらに必要と考えられた人件費分の研究費を次年度に繰り越すこととなった。 繰り越して請求する研究費は,予定されていた認知実験実施の際の人件費および謝金として次年度使用する。 また,視線追跡装置を用いた実験の準備に補助者の協力が相当時間必要であることが見込まれること,実験装置の充実のために消耗品購入が予定されることから,次年度以降に請求する研究費は,おもにそれらに使用する計画である。
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