競合を解消する状況において,課題無関連情報を排除し,課題関連情報を優先的に処理する視覚情報選択性は,それまでの競合解消経験などの文脈に影響される。本研究は,この視覚情報選択性の調整(PC効果)について検討した。明らかにしたのは3つであった。一つは,PC効果は比較的少ない競合経験によって成立し,競合頻度に応じて柔軟に変化し,同一課題において,刺激の種類や呈示位置が同じであれば般化することであった。二つ目は,視覚情報選択性の調整は左右半球に独立に行われることであった。三つ目は,健常高齢者においても視覚情報選択性の調整が認められたが,若年者に比べて,その柔軟性に欠けることであった。
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