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2013 年度 実施状況報告書

砂糖中毒を制御するための、渇望の増強に対する環境刺激と経験の効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24530930
研究機関同志社大学

研究代表者

青山 謙二郎  同志社大学, 心理学部, 教授 (50257789)

キーワード砂糖中毒 / craving / 学習
研究概要

砂糖などの甘味料に対して薬物と類似した強い渇望を伴う“中毒”症状が生じ、健康な食生活を送る上で妨げとなる可能性が指摘されている。本研究では、砂糖などの甘味料に対する渇望が獲得され、さらに増強されるプロセスを、条件づけの観点から検討し、渇望を適切に制御するための手法を開発することを目的とした。
渇望の増強(渇望の孵化)は、コカインやヘロインなどの薬物中毒の研究において従来から示されてきた。近年、砂糖やサッカリンなどの甘味料を溶かした溶液を強化子として用いた場合においても渇望の増強が生じることが示されてきている。
本年度は固形の餌である砂糖ペレットを強化子として用いた場合にも同様の渇望の増強が生じるか否か、さらに、砂糖が長期間完全に剥奪される場合だけでなく、間欠的に剥奪される場合にも増強が生じるかを検討した。
訓練期ではラットがレバーを押すと砂糖ペレットが強化子として与えられ、更に光と音の複合刺激が砂糖ペレットと同時に提示された。その後、cue反応性テストにおいて渇望の程度が測定されたが、そこではレバーを押しても砂糖ペレットは提示されず、光と音の複合刺激のみが提示された。訓練は10日間行われ、cue反応性テストは訓練最終日の翌日(1日群)、および30日後(30日群)に実施された。この2群では、訓練終了後からcue反応性テストまで砂糖は一切与えられなかった。もう一つの群では、cue反応性テストは訓練の30日後に実施したが、30日間の間は2日に1回の割合で砂糖ペレットを飼育ケージで与えた(半30日群)。その結果、cue反応性テストでの反応数は、30日群で1日群よりも多く、渇望の増強が確認された。さらに、半30日群でも、1日群よりも反応数が多かった。ただし、半30日群の反応数は30日群より少なかった。この結果は、間欠的な剥奪でも渇望の増強が生じることを意味する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

砂糖を報酬とした場合に渇望の増強が生じることが従来示されているが、平成24年度の研究で、渇望の増強がサッカリンを報酬とした場合にも生じることが確認され、甘味物質に対する渇望の増強にカロリーが必要ではなく、甘味が重要であるという報酬側の性質を確認することができた。
平成25年度の研究では、渇望の増強において報酬の剥奪の必要性を改めて確認することができた。すなわち、訓練からテストまでの期間が同じ30日であっても、完全に剥奪する方が間欠的に剥奪するよりも渇望の増強が強かった。この結果は、渇望の増強は単に時間の経過によって生じるのではなく、報酬の剥奪の程度が重要な役割を果たすことを意味する。

今後の研究の推進方策

平成24年度、平成25年度ともに米国Washington州のWestern Washington UniversityのGrimm教授と共同で研究を実施した。平成26年度も同様にGrimm教授と共同で研究を継続する。
具体的にはデータを共有し、データの分析および論文の執筆を共同で行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に米国San Diegoでの国際学会に参加したが、参加費用を所属大学の渡航費補助によりまかなったため、予算に10万円程度の余裕が見られた。
平成26年度は実験の実施の他に、成果発表のための学会出席、および論文の投稿の活動を行うため、前年度より多く経費が必要となる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Incubation of saccharin craving and within-session changes in responding for a cue previously associated with saccharin.2014

    • 著者名/発表者名
      Aoyama, K., Barnes J. &, Grimm J.W.
    • 雑誌名

      Appetite

      巻: 72 ページ: 114-122

    • DOI

      10.1016/j.appet.2013.10.003

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Systemic injection of the DAD1 antagonist SCH 23390 reduces saccharin seeking in rats.

    • 著者名/発表者名
      Aoyama, K., Barnes, J, Koerber, J., Glueck, E., Dorsey, K, Eaton, L., & Grimm, J. W.
    • 学会等名
      Neuroscience 2013
    • 発表場所
      San Diego, USA
  • [学会発表] ラットの砂糖渇望のincubationは、2日に1日の割合で砂糖を剥奪した場合にも生じるか?

    • 著者名/発表者名
      青山謙二郎・武藤崇
    • 学会等名
      日本行動分析学会第31回年次大会
    • 発表場所
      岐阜大学

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公開日: 2015-05-28  

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