前年度までと同じく、水槽での水泳に先立って飲んだ味覚溶液を忌避するようになるという水泳性味覚嫌悪学習について、回転カゴ走行によって生じる味覚嫌悪学習との比較などを通して、普遍性や頑健性を実験的に確認し、理論的考察を行った。 平成26年度に実施した実験は6件であり、その内訳は以下の通り。(1)ICR系マウスの水泳性味覚嫌悪学習、(2)ICR系マウスの走行性味覚学習、(3)ラットの砂糖剥奪性嫌悪学習における砂糖溶液呈示日数の効果を5日と10日で比較した前年度実験の発展的追試、(4)ラットの走行性味覚嫌悪学習に及ぼす直前走行の阻害効果を調べた前年度実験の発展的追試、(5)事前走行がラットの水泳性味覚嫌悪学習に及ぼす影響の再確認実験、(6)走行により内臓不快感がラットに生じていることを異食行動を指標として示した実験。 このうち(6)については前年度に行った関係実験とまとめて、食行動の国際的学術誌に投稿誌、査読を経て年度内に掲載された。(5)についてはその知見を踏まえ、前年度までの成果を論文化し、学習と動機づけに関する国際的学術誌に査読論文として掲載された。(1)および(2)については、味覚嫌悪学習が見られず、さらなる手続きおよび装置の改善が必要である。(3)については、前年度までの実験からの予想と大きく異なる結果であった。理論的枠組を再検討し、さらに次年度に新たな実験を行って論文化する予定である。(4)は前年度までの結果(直前走行により走行性味覚嫌悪学習は阻害する)は再現できたものの、発展的手続き部分(背景文脈による制御)は成功しなかった。今後、背景文脈として用いる刺激の種類を増やすなどの工夫が必要である。
|