研究課題/領域番号 |
24530932
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
竹市 博臣 独立行政法人理化学研究所, 情報基盤センター, 専任技師 (60242020)
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研究分担者 |
軍司 敦子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (70392446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生理 / 聴覚認知 |
研究実績の概要 |
m系列変調法は、脳波から事象関連電位(信号)を加算平均なしで短時間に記録する方法であり、本研究ではこの技法の技術的高度化をめざしている。 平成26年度は、平成24年度に採取したデータ(健常成人(N=14)が、ヒトの音声(Voc)、ヒトの声ではない物体音や環境音(NonVoc)、ならびに音声または環境音の包絡線を保ってスペクトルをランダム化したスクランブル(ScrVocおよびScrNonVoc)のm系列変調音を聴取しているときの脳波)の一部を再分析した。相関係数行列よる検討を行った。刺激ごと、実験参加者ごとに刺激聴取時間中の脳波の電極間の相関係数行列を求めた。Voc、NonVoc、ScrVoc、ScrNonVocのいずれの場合もFzとCz、CzとPzの相関が高く、またFC5、CP5と他電極の相関が高いパターンが得られた。VocのパターンとNonVocのパターンは類似していたが、分析した9人中7人の被験者について相関係数行列の対応する要素の差の二乗和平方根はVoc-NonVoc>ScrVoc-ScrNonVocとなり、この方法で声特異的な反応を抽出することができる可能性が示唆された。Voc-NonVoc-(ScrVoc-ScrNonVoc)で求められる相関係数行列では右側(FC6、T8、CP6)が相対的に高値を示し、特にFC6、T8と他の電極との相関係数が相対的に高値を示したことは声認知に関わるaSTSの関与を示唆するものであった。オリジナルの循環相互相関関数の独立成分分析を用いた方法に対して、周波数分析を用いた方法やコヒーレンスを用いた方法、相関係数行列を用いた方法に反映されるのは脳の局所的なダイナミズムである。声特異的反応の信号源が局在しているならば、必ずしも頭皮上全体にまんべんなく電極を配置して記録するのが有利とはならないと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計測脳波の解析ならびに考察を追加し、当初の研究計画調書の目標を概ね達成できたといえる。しかしながら、すべての成果の公表に至っていないという点で、やや遅れていると内省した。
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今後の研究の推進方策 |
成果の公刊を進めるとともに、必要となった追加解析ならびに脳磁図解析・考察をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果を平成26年度中にすべて論文化するに至らなかったことなどから平成27年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、論文の公刊に要する費用、平成26年度に継続して、データ解析を行うのに必要な物品費、m系列変調法の高度化に関する調査・情報収集・研究発表・成果普及のための旅費等に研究費を使用する計画である。
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