研究課題/領域番号 |
24530935
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
高橋 亜希子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90431387)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高校 / 学習 / 協同学習 / 他者 / 対話 |
研究概要 |
「高校の授業を見る」ことをテーマに、2012年度は高校での授業見学を中 心に行った。具体的には、以下の高校を訪問し、授業見学を行った。 A高校(東京都)3回訪問(6月、10月、11月) B高校(埼玉県)1回訪問(2月11日) C高校(京都府)1回訪問(2月18日) 11月のA高校と2月のC高校は研究協力者の望月一枝(秋田大学)大津尚志(武庫川女子大学)と共に訪問した。3人での訪問の際は、一つの授業を見て、記録とレポートを書き、授業を行った教諭から感想を頂くという形式で授業検討と振り返りを行った。 訪問を通して感じたのは、一つは、高校の学習をめぐる状況の息苦しさである。文部科学省が立てたカリキュラムや目標の達成に主眼が置かれると、外部の目標の達成に主眼が置かれてしまうことが感じられた。もう一つは、その中で生じている新たな動きへの気づきである。英語という教科の本質を「他者・異文化との出会い」と置き、生徒と朝鮮学校やインドネシアの学校を訪問し、学校外の人々との交流を図り英語で振り返る授業や、協同学習を高校全体で取り組み、教員同士が授業を公開し、授業検討会を通して生徒の見取りを共有している高校もあった。目標を外部に置かず、生徒との話し合い、もしくは教員同士の交流から学習を生み出そうとしている様子が印象的であった。 探究学習の状況を知るために、歴史ある小学校の教育実践の参観も行なった。2013年の2月には奈良女子大学付属小学校の授業を見学し、また、前年に訪問した富山市立堀川小学校の授業実践については「子どもが創る授業を追究する堀川小学校の調査研究-教師の働きかけに焦点を当てて」(北海道教育大学紀要)、北海道教育大学付属旭川小学校の教育実践については「総合学習「旭川名物をつくろう」の継続観察」」(北海道教育大学紀要)として論文の発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、高校を訪問し授業を見学すること、また、授業検討会を行い、訪問記録を文書化し、高校教員と授業の意図、状況などを共有することを目的としていた。授業見学に関しては、代表者個人では6回の高校訪問、共同研究者とはA高校、C高校と2回の訪問を行うことができた。またA校、C校に関しては、授業検討会、訪問記録の検討を行うことができた。そのため、高校の授業の現在を知り、高校の教員と信頼関係を結ぶという基礎にあたる作業を今年度は行なうことができたと思われる。 また、代表者個人としては高校の総合学習に関する書籍(「総合学習を通した高校生の自己形成」2013、東洋館出版社)1点、査読付き論文1点(「総合学習における課題設定過程」2013、質的心理学研究)小学校の探究学習に関する論文を2点発表することができた。今後は学会での発表など、発信のほうにも力を入れたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2012年は、中央教育審議会で高校部会の審議が行われ、高校で何を学ぶべきかという議論が活発となっている。2013年度も授業見学を継続していきながら「高校での豊かな学びは何か」を検討していきたい。 引き続き、共同研究者との授業訪問と検討会を実施することが、今年度の第一の目標である。ただ、個々の授業だけでなく、高校を取り巻く状況を把握することも大切である。そのため、① 2013年5月に共同研究者の3名で高校生活指導研究協議会の「全国フォーラム」に参加し、各地の高校教員が抱えている課題を知る機会を持つ。8月の全国大会に参加する ② 2012年に行なわれた中央教育審議会で高校部会の審議内容の把握 など、高校教育が置かれている状況に対して国側、教員側から把握することにつとめる。また、高校訪問については昨年度は英語の授業が中心となったが、社会科、国語科などの授業の検討を行なっていきたい。また、生徒が社会や労働とのつながりを見出す教育実践の見学、具体的には高等専門学校を訪問していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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