本研究においては、日本の教師がプロジェクト型カリキュラム開発や実践に関わった契機や、能力形成のプロセスを米国の教師の場合と比較し、日本の教師のカリキュラム・デザイン能力と、その形成過程の特質を分析した。そのために、まず米国に興ったプロジェクト型カリキュラムの理論的背景とその実践的特質を把握し、近代において日本にもたらされたプロジェクト型カリキュラムや実践の情報が、当時の教師たちにどのような経路で伝わったのかを明らかにした。 最終年度である今年度は、1920年代のアメリカにおけるヨーロッパ新教育情報の研究実態に関する補充調査を実施しつつ、昨年度までに海外・国内調査によって収集した史料の整理と分析を行った。調査対象とした教師や学校の中から優れたカリキュラム実践の事例を取り上げ、それぞれの事例のカリキュラム開発の実態、教師の能力形成の契機やプロセスを明らかにすると同時に、米国における優れた実践家といわれる教師について同様の調査を行い、両者の事例の比較を通して日本の教師のカリキュラム・デザイン能力形成過程の特徴を分析した。 上記の調査によって得られた研究成果の一部を日本カリキュラム学会と教育史学会で報告するとともに、5本の論文にまとめて学会誌等に発表した。
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