研究課題/領域番号 |
24530943
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
坂井 俊樹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10186992)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流 / 教員養成プログラム / 教育実習 / 学校大学間連携 / 教育委員会大学間連携 |
研究概要 |
平成24年度の研究では、①東北師範大学における大学ー地方教育政府(教育委員会)-学校との連携による教育実習システムを現地視察と共同公開研究会の開催、②東北師範大学教員による日本の教育実習システムの概要と現地視察、公開研究会を行った。その他に④両国の教員養成政策に関する基本文献、研究書籍の収集を行った。 そこで明らかになったことは、①日中の現代教員養成政策の基本方策の明確化(中国においても、師範大学におけるばかりでなく、総合大学での教員養成プログラム開設が急速に浸透していること、教員養成プログラムの大学・大学院要請プログラムの開設による高度化の進展)、②東北師範大学と東京学芸大学の具体的教員養成プログラムの原理と実際の共通理解、具体的には、東北師範大学の教員養成プログラムは、最低総修得単位数155単位(物理学教員養成プログラム)の中で25単位の教職課程プログラムを上乗せする形で構想されていること、それらは中等学校教員養成プログラムが原型となっていること、③大学と地方政府・教育委員会・教育実習校の連携は強く、都市部でなく地域での教員養成プログラムは、約2ヵ月の宿泊を伴う教育実習制度となっていること、そこには大学の教科教育研究者も泊まり込みで指導に関わり、授業案づくり、授業参観、授業分析研究、当該教育実習校の現職教員との研究協議会の開催等の丁寧な指導プログラムとなっていること、等が分かってきた。 また、今後は、それらの教員養成プログラムの成果・効果を検証するための評価方法の検討とともに、その試行する計画について意見交換を重ね、平成25年9月の東北師範大学での共同公開研究会の開催計画を作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年間継続研究の初年度の目的である、①日中の教員養成プログラムの基本的内容についての共通理解ができるとともに、②両大学が実施している教育実習システムと園実際を現地視察を伴う共同研究として実施できたこと、③これらに関する共同研究の実際を両大学内で公開の研究会・シンポジウムとして開催できたこと、④また、今年度の研究成果をまとめ、可能な限り研究成果を公刊する方向で研究方向が確認された。以上の点から、初年度の研究目的は十分達成されたと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画として、9月末に東北師範大学で、東北師範大学内外の中国の教師教育研究者を交えての公開研究会を開催する予定となっているほか、この2年間の成果を報告書刊行としてまとめる計画をつくった。 そのために、①日本側から9月末日に、中国長春市の東北師範大学並びに教育実習実験区の訪問調査並びに研究協議を実施する。そこでは、東京学芸大学の研究者教員や教育実習担当教員との訪問調査を計画している。また、②両国の教員養成政策や教育実習システムに関する基本文献の相互交換や、それらの中の基本文献の翻訳、検討会等を開催する予定である。 ③研究推進に当たっては、2つの小課題研究グループを構成し、次のような研究活動を実施する。 a)第一研究グループ=最新の両大学・学部の教員養成プログラム、とりわけ教育実習並びに教育実践関連科目の担当教員と受講学生への聞き取り調査結果の整理と考察を行い、定言的な形で、まとめる。これらの研究作業を通して、両国の教員養成制度の相違点に留意しながら、各大学での教員養成プログラムの特質とその効果、その条件等に関しての分析・考察を行う。その際、教員養成カリキュラム構造と実践的プログラムの位置づけに関する考察に焦点化し手考察を加え、モデル的プログラム開発、研究の基本的視点を整理、提起する。 b)第2研究グループ=実質的な協力・連携のモデルの提案をめざし、人、時間、費用などの経費負担、組織としての態勢の整備に特に着目して、典型的事例に関して焦点化する。また、大学と学校ならびに教育委員会(地方教育行政機関)との協力・連携関係の構築上の課題(失敗例の研究を含む)を法制度、行政の領域主義、大学運営体制、大学人の意識などの面から実証的に検証し課題整理する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、おおよそ次のような計画を予定している。 ①中間的成果物をまとめ、それらを含めての検討会を、両国での公開研究会開催を予定している。従って、報告書の刊行費並びに郵送費を確保することが必要となる。 ②本研究をより実践的たらしめるために、両国での現地訪問調査や公開研究開催に当たっては、附属学校教員の参画を得るように拡張して実施できるように工夫する。従って、東京学芸大学の研究者と附属学校教員の調査研究費の確保が不可欠となる。 ③この間収集・翻訳した資料・データ等を整理して、公開できるようなシステムを開発し、全国に提供できるようにする予定である。そのために、テープ起こし代金、翻訳、通訳、謝金が発生するとともに、それらを編集整理するためのアルバイト経費が必要となる。また、紙ベースの報告書以外に、ウェブベースでの公開システムの開発経費を予定したい。
|