1つには、大学と教育委員会との対等で平等なパートナーシップの在り方の事例的比較研究を行い、とりわけ中国・東北師範大学と吉林省内等の実験区における教育委員会と実習校と東北師範大学における互恵的恒常的関係を明らかにすることができた。2つには、大学内での実践的指導力育成プログラムの開発と実施が、どのような学内合意とシステムで整備されているかについて、東北師範大学内の研究機関と実施機関での具体的支援システムを明らかにするとともに、教員養成プログラム開発体制を確認できた。3つには、中国・東北師範大学で行われている大学―学校―地方行政府(教育委員会)のパートナーシップに基づく実践的指導の力量育成プログラムの可能性と課題を、これまでの継続的共同研究をもとにして、具体的実証的に調査・研究した。4つには、これまでほとんど未開拓な領域である中国・吉林省での教育課題、教育実践課題の教育社会学的比較研究に関しては、学校現場と教師の生活基盤や学校文化の相違点を明らかにできたが、実際の調査研究には至らなかった。5つには、以上の具体的実証的研究を通して、教員養成学研究あるいは教師教育学研究の方法論と研究成果に関する研究交流を行った。とりわけ、教科教育レベルに立ち入っての教員養成プログラムの比較検討を行った。 このような本研究の成果と意義を整理すれば、①高等教育機関全体としての教員養成ならびに現職教育プログラムの開発・実施・実施結果の分析というトータルで実証的な比較研究とともに、②大学と教育委員会等地方行政機関の独自性と協力関係性の在り方を考察し、③教科に即した教員養成プログラム開発やそれらに配慮した教師教育学研究のあり方を整理することができた。
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