本研究は、日本における学校の受容の時期とその条件や進行の有り様を解明することを目的とする。1930年代から高度成長期までを一つながりのスパンとして、10代が就学の対象として包摂される経過を学校化社会の一つの指標とし、学校受容化の過程の検討を加える。その際、教育制度の社会史という方法を用いて教育の内側を描き、日本の学校システムの歴史的定着の特質を明かにしようとするものである。 2013年度に続き、一条校をコアとした学校システムにおいてその周辺に位置するとおもわれる学校に注目し、こんにちにまでをスパンを広げながら、研究協力者とともに人間形成と学校に関する基礎資料を収集しその整理をおこなった。その際、歴史過程に注目し、地域社会における学校の成立の基盤という問題を捉えるための事例の探索、資料の収集を継続し、周辺の学校として検討を深めていけるものとして、専門高校、定時制高校、夜間中学校の検討を進めた。またコアの学校の定着については東井義雄研究として報告した。 2014年度の最大の成果の一つは、夜間中学校や朝鮮学校、定時制学校、専門高校さらに奄美島嶼部研究などを中心にこれまで収集した資料の整理を進め、これらの検討を踏まえながらこんにちまでを含めた仮説的な展開の時期区分を意識した報告書をつくりあげたことである。 同時に、学校化社会を支える人間形成の特色を捉えるために、全体を整理する人間形成論上の理論的な整理を新たな課題としてきた。この間、教育学のみならず、近隣諸科学の動向や成果を踏まえたカテゴリーの整理と検討を進めてきたが、2014年度にその成果を反映したテキストの刊行を行った。
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