研究課題/領域番号 |
24530948
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
加藤 繁美 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00191982)
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キーワード | 戦後教育改革 / 幼児教育制度 / 児童福祉制度 / 沖縄占領政策 / アメリカ幼児教育史 / イタリア幼児教育史 / ドイツ幼児教育史 / 比較占領史 |
研究概要 |
戦後保育・幼児教育法制成立過程について、GHQ/SCAP(占領国軍総司令官総司令部)文書を活用して研究を進めてきたが、保育要領作成過程に関する資料を中心に、新たな資料を発見することができた。特にCIE(民間情報教育局)のカンファレンス・レポートの分析により、旧来の通説の反証となる資料を得ることができた。 また、在米資料収集を米国議会図書館を中心に行った結果、占領政策に影響を与えたと紹介されてきた“A Good Start in School”等、新たな資料を発掘することができ、戦後保育・幼児教育制度改革研究に新たな事実を加えることができた。 平成25年度の研究においては、これらに加え沖縄占領文書の検討も進めてきたが、これについては、収集した資料の整理を進めるとともに、戦後沖縄の保育の実態について総合的に調査を進める準備をしているところである。 これまで明らかになった事実を中心に、平成25年度においても研究成果をまとめ、公表してきたところであるが、新発見資料を中心とした研究結果については、現在論文にまとめているところである。特に保育要領作成経緯に関する研究を中心に、平成26年度中にその成果をまとめ、公表していく計画である。また、沖縄占領下の保育・幼児教育制度改革に関しては、実態調査を含めて総合的に研究を展開し、本土との比較研究を行う過程で、戦後日本の保育・幼児教育制度改革の実態を総合的に明らかにしていく研究に発展させていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた資料収集と資料の検討に関してはおおむね計画通り進行しているところである。とりわけ、CIEカンファレンス・レポートの検討により、保育要領の作成過程を明らかにする新資料を発見することができ、在米資料の調査により、戦後保育・幼児教育制度改革に大きな影響を与えたといわれてきた資料を収集することができた。さらに沖縄占領政策に関わる研究については、平成25年度までに基礎的な資料の収集を行うことができたが、幼稚園準義務制に至った経緯を明らかにする新資料の発掘はかなり困難であり、当初の予定とは異なるアプローチで研究を発展させる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続き、CIE(民間情報教育局)カンファレンス・レポートの検討を中心に、戦後保育・幼児教育制度成立し研究を進めていく。また、これまで本格的に調査することができなかったPHW(健康福祉局)のカンファレンス・レポートの検討に今年度は着手していく計画である。これにより、教育と福祉の両面から戦後保育制度改革の実態を明らかにすることが可能となるが、これに加えて、沖縄占領下の保育・幼児教育の実態調査、アメリカ・ドイツ・イタリアを視野に入れた、比較占領保育史研究へと研究を発展させていく予定である。アメリカについては、アメリカ幼児教育の影響に関する研究を、ドイツとイタリアに関しては、枢密国間の戦後保育・幼児教育制度の比較研究に研究を展開していく計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外調査費用・謝金を当初の予定より減額したことと、沖縄の幼稚園・保育所に対する全園調査を次年度に先送りしたことが大きな要因である。特に、資料整理に関する今年度の作業は研究代表者本人で行い、次年度以降、印刷媒体として整理する作業を外注することで作業の効率化を図ることにした。現在、なお必要資料を収集中であり、その作業に整理がついた段階で、改めて資料整理の仕事を発注する計画である。 研究3年目は資料収集の最終段階として、海外調査(比較占領史)と国内調査を継続していく計画である。国内調査に関しては、GHQ/SCAP文書を中心に、引き続き資料収集・調査活動を継続していくと同時に、沖縄県内の幼稚園・保育所全園調査と、その延長線上で「聞き取り調査」を実施していく予定である。また、こうした作業に併行して、収集した資料を印刷媒体に整理していく予備的作業を実施していくために使用していく計画である。
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