本研究は、戦後保育・幼児教育法制の成立過程と占領政策の関係を明らかにすることを目的にしたものである。戦後保育・幼児教育法制に関しては、これまで日本側の資料と当事者の回想に基づいて行われたものが中心であったが、本研究においてはこれを、GHQ/SCAP文書を使用しながら明らかにしたものである。 研究の結果、特に保育要領の形成過程の全体像を明らかにすることができた。保育要領は日本で最初の「保育内容の基準書」であるが、その保育要領制定の重要なポイントが、「学術的な教育書」を保育実践の「国家基準」として機能させようとした点にあることを明らかにした。
|