研究課題/領域番号 |
24530949
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
日永 龍彦 山梨大学, 大学教育研究開発センター, 教授 (60253374)
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キーワード | 戦後大学改革 / 琉球 / 家政学教育 / 大学設置認可 |
研究概要 |
本年度は、米国統治下の沖縄における大学の設置認可制度の形成過程と琉球大学家政学部におけるミシガン州立大学の影響を示す諸資料収集・整理に重点をおいて研究活動を行った。琉球大学図書館において、開学から本土復帰までの間の学生便覧や学部紀要、当時の教員の回顧録その他関連書籍を収集した。沖縄県議会図書室では、教育4法(教育基本法、学校教育法、教育委員会法、社会教育法)の立法院議事録を収集した。沖縄県公文書館では、中央教育委員会議事録(学校教育法・教育委員会法案関連・私立大学設置認可関連)、USCAR文書(大学設置認可制度・教育四法関連、ミシガン州立大学顧問団関連)およびミシガン州立大学顧問団文書(ランドグラント大学として琉球大学を設立する際の基本要件や家政学カリキュラム構築関連)を収集した。 これらの資料を基に、連携研究者の石渡尊子が(一社)日本家政学会・家政学原論部会『家政学原論研究』(47巻)に「戦後沖縄における家政学教育の出発 : 琉球大学創設期のカリキュラムに着目して」を発表したほか、研究代表者(日永)が、大学評価学会第11回大会第一分科会において、「米国統治下の沖縄における大学設置認可制度の形成過程」と題する口頭報告を行った。石渡論文では、日本本土の家政学カリキュラムと異なり、米国における家政学カリキュラムがそのまま移入されていること、ランドグラント大学として研究成果の普及活動に多大なエネルギーが注がれていることなどを明らかにした。日永報告では、戦後の日本本土で頓挫した大学の設置認可や大学管理に関する制度が当時の沖縄では実現していること、それが米国側からの影響もさることながら、沖縄の人々の選択の結果でもあったことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
琉球大学および私立大学の設立経緯と家政学教育カリキュラムについての日本本土との異動がほぼ明らかになった。研究代表者と連携研究者の日程調整がつかずに米国調査を行うことはできなかったが、研究課題の重要な部分を明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
私立大学と琉球政府との関係を明らかにするため、1960年前後の私立学校法の成立過程について調査研究を進めるとともに、ハワイに残されている琉球大学設立当時の資料の調査を実施する。また、これまでの成果を日本教育学会第73回大会のラウンドテーブルにおいて発表し、関連研究を進めている研究者の批判を仰ぎ、最終的な成果のとりまとめを進めることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた米国調査(3名分)が、日程調整がうまく行かずに実施できなかったことが最も大きな理由である。 『戦後教育資料』のマイクロフィルムの電子化と、米国調査(2名、計画作成時は1名の予定)を実施するとともに、日本教育学会(福岡)、日本家政学会(広島)、大学評価学会(兵庫)における発表を予定している。
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