研究課題/領域番号 |
24530952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 晴彦 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10199789)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アメリカ合衆国 / ジョン・デューイ / ヘーゲル |
研究概要 |
平成24年度の研究計画は、研究課題の中心であるジョン・デューイの初期の思想形成における、ヘーゲルの精神哲学、論理学、弁証法からの影響、また19世紀のアメリカのヘーゲル研究の水準について精査することにあった。より具体的には、デューイに最初に哲学への誘いの契機となったバーモント大学のトーリー、エントルイス学派の中心人物、W.T.ハリス、さらにデューイのジョンズ・ホプキンス大学時代の、G.S.モリスらの活動の思想について、資料の収集と共に分析することにあった。 より具体的な史的資料としては、R.M.WenleyによるThe Life and Work of George Sylvester Morris: A Chapter in the History of American Thought in the Nineteenth Centuryに加え、ハリスが刊行した、セントルイス学派の学術機関誌The Journal of Speculative Philosophyの一部、また19世紀の学術雑誌の部分的な復刻版、The St.Louis Hegelians 3 Volumesを入手することができ、これらの一部分析に取りかかった。 平成24年度の課題の2番目は、初期デューイ思想に大きな影響のあった、有機体論的、進化論的生物学に関する研究の分析であるが、T.H.ハクスリーのEvolution and Ethicsほかの構造と影響の度合いの検討については、引き続き継続していく予定である。また19世紀末のデューイがミシガン大学、シカゴ大学において行ったセミナー、講義記録の収集と分析については、諸般の事情から執行できなかったため次年度に改めて計画し速やかに実施したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の前半は、デューイ思想の初期の部分に関する資料の収集とその分析にあり、研究方法としては、学術雑誌などの復刻版や欧米の研究の精査が中心である。そのため研究の進捗状況は、これらの基本文献と資料の収集に大きく依存する。 他方、諸般の事情から、本研究の中心的な資料の一部である、デューイ自身の講義録などの収集は、アメリカのミシガン大学、シカゴ大学、南イリノイ大学の図書館などへの訪問により実現されるが、これらについての機会を逸しており、次年度以降の実現が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度については、引き続き前年度に収集した研究資料の分析に取り組むと共に、本研究の中心的な第一次資料である、ジョン・デューイの初期の講義ノート、セミナーの記録の収集につとめる。より具体的には、ミシガン大学ベントレー・ヒストリカル・ライブラリー、シカゴ大学のレーゲンシュタイン・ライブラリー、南イリノイ大学のモリス・ライブラリー、南イリノイ大学ジョン・デューイ研究センターでの資料収集が主な課題であり、これらの未公開の資料の分析と成果発表が主な研究課題である。 成果発表については、日本カリキュラム学会での課題研究、個人発表、アメリカ教育学会、日本デューイ学会などのいづれかにおいて実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度からの継続的な研究成果について、国内の学会の研究大会(日本カリキュラム学会:上越教育大学、アメリカ教育学会:上智大学、日本デューイ学会:新潟青陵大学など)での成果発表のための旅費を計上している。また引き続き、19世紀のヘーゲル研究、進化論的生物学に関する当時の研究雑誌、およびそれらの復刻版の検索と購入を計上している。 本研究の中心的な課題である、アメリカのミシガン大学ベントレー・ヒストリカル・ライブラリー、シカゴ大学図書館、南イリノイ大学のモリス・ライブラリー、南イリノイ大学ジョン・デューイ研究センター、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ附属図書館での資料収集のための旅費を計上している。
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