本研究課題は、デューイによる未公開のセミナーと講義ノートの収集と分析であった。従来のデューイ研究では、デューイは、ミシガン大学からシカゴ大学に移った前後に、ヘーゲル主義的な観念論から離脱し、実験主義期に移行したということになっているが、本研究の仮説は、デューイの中でその種の劇的な移行はなく、哲学的方法をめぐる省察が徐々になされたとのではないかというものであった。この仮説の検証のために、シカゴ大学時代の演習を入手し分析した結果、少なくとも20世紀への転換期までは、ヘーゲル哲学について講義を続けており、ヘーゲル哲学とイギリスその他の新ヘーゲル主義とをデューイが峻別していたことが明らかとなった。
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