平成27年度もBibliotheca Teubneriana Latina (on line)を活用した、ラテン語動詞educareの用例検索及びデータベースの構築に向けて作業を推進した。①用例データベースの確認作業、②入手すべき文献を収集する海外渡航(フランス国立図書館)、そして③本研究事業の成果を総括する論文、「ラテン語文法書におけるeducareの語釈と用例」の執筆作業に従事した。 ①educareの用例を整理し、データベースに入力する作業については概ね順調に完了した。educareに関して活用の形を逐一検索しては整理し、データベースに入力していく作業はたいへん労力がかかった。単純集計で約300件あまりの用例をデータベースとして整理することができた。この用例データベースを通覧していると、当初の予想どおり、educereとの用例の重複が相当数含まれていることが一目瞭然になり、これらを整理していくと、educareの用例は100件程度に限定されることが分かってきた。このデータベース自体、〈教育(education)〉概念史研究にとって画期的な成果であると言える。 ②①のデータベース作成作業を続けていると、古代末の文法書(語彙集、動詞論)においてeducareとeducereの語義・用法の違いが論じられている点が注目された。特に典型例としてあげられているウェルギリウス、プラウトゥス、アッキウス等の作品について、あらためて海外史料調査を実施し、閲覧・複写することで確認・入手し、検討することができた。 ③本研究事業を総括すべく、②のラテン語文法書に焦点を絞り込みながら、それらが引用しているラテン文学の黄金期の用例を詳しく紹介、検討したものを論文としてまとめた。
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