本研究はラテン語educareの用例を整理し、語義を確定するものである。用例検索にあたってはトイプナー古典叢書を活用した。古典ラテン語作品におけるeducareの用例は500件以上確認され、特に農業論とラテン語文法書において頻出する。コルメッラ『農業論』では家畜の飼育という文脈で多く用いられ、educareが養い育てることを意味していたことを示している。また古代末のラテン語文法書、ノニウス・マルケッルス『学説集』は、educareは養い育てること、educereは外に連れ出すことという語義の違いを鮮明に認識しており、ウァローやウェルギリウス等の著名な作品を引証している興味深い事実が判明した。
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