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2012 年度 実施状況報告書

教育における宗教性に関する思想史的・人間学的研究――「京都学派」教育哲学を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 24530956
研究種目

基盤研究(C)

研究機関奈良女子大学

研究代表者

西村 拓生  奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (10228223)

研究分担者 井谷 信彦  武庫川女子大学, 文学部, 講師 (10508427)
吉田 敦彦  大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (20210677)
岡本 哲雄  近畿大学, 教職教育部, 教授 (60268464)
山内 清郎  大谷大学, 文学部, 准教授 (80351253)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード京都学派教育哲学 / 教育における宗教性 / 教育と超越 / 「空」の教育思想 / 木村素衞
研究概要

研究初年の本年度は、9月に実施した研究合宿での集中的な研究討議を中心に研究を進めた。研究討議には、京都学派教育哲学の流れを受け継ぐ研究者のうち、松田高志氏と大西正倫氏をお招きして、特に前年に学位論文を公刊したばかりの大西氏による木村素衞の教育思想に関する報告を中心に議論を深めた。
大西氏の報告と議論においては、木村の教育思想の根底にある、教育行為の只中で「生成するイデア」という概念に、西欧的な「実体-属性」の形而上学とは異なる、京都学派特有の--仏教的な「空」の概念に通ずる--動的、非実体論的な「超越」観が濃厚に見られることが確認された。そして、そのような、近代教育学の根底にある形而上学とは異質な京都学派的な「超越」観と教育理念には、狭義の宗教(実定宗教)と教育の関係にとどまらない、より普遍的な、近代教育概念に対するオルタナティブとしての意義があるのではないか、といった点が議論された。
研究合宿後は、12月と3月にメンバーが各自の研究の進展状況を報告する会合を持ちつつ、各自、論文執筆等を進めた。今年度の公刊論文、学会発表等は別紙の通りであるが、特に西村は、木村素衞のシラー解釈の検討を通じて京都学派教育哲学に固有の「実践」概念を明らかにする英語論文を公刊、また岡本は、西田幾多郎の「純粋経験」や田辺元の「空」の思想から見た「意味」概念とフランクルのヘブライ的な「意味」概念を対比的に考察する論文を公刊した。山内は、京都学派教育哲学の系譜をひく臨床教育学理論における「個別性」と「普遍」をめぐる考察を日本臨床教育学会のシンポジウムで発表。井谷は、ヴァン=マーネンの現象学的な「省察と意味生成」に関する論考を公刊した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通り、京都学派教育哲学の系譜を受け継ぐ研究者を招き、若手研究者も交えた集中的な研究討議を実施できた。また、研究代表者と研究分担者は、それぞれ役割分担に応じた研究を進め、ほぼ全員のメンバーが何らかの関連の論文執筆、学会発表等を行い、研究成果を公表できた。

今後の研究の推進方策

次年度(平成25年度)も研究合宿における集中的な研究討議を中心に、随時研究会を開催してメンバー相互の議論を深めつつ、各自が論文執筆、学会発表等を行う。とりわけ25年度は、三木清、高坂正顕等について研究している若手大学院生を研究協力者として招き、最新の研究成果を報告してもらいつつ、共同研究の視野を拡大したい。また、それらの成果を踏まえて、平成26年度において教育哲学会で京都学派関連のラウンドテーブルを開催し、本共同研究の成果を総括する準備を進める。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度とほぼ同様、研究合宿、研究会のための旅費、謝金、会議費と、京都学派に関する文献の購入に使用する。
なお、24年度は研究合宿における研究協力者の参加が当初見込みより少なかったため未使用額を繰り越すことになったが、平成25年度は上記の通り新たに若手研究者の参加を予定しているので、その分の旅費等として使用する見込みである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ホモ・パティエンスが拓く地平―〈意味〉の声はきこえるか2013

    • 著者名/発表者名
      岡本哲雄
    • 雑誌名

      imago現代思想4月臨時増刊号 総特集 ヴィクトール・E・フランクル

      巻: 4月臨時増刊号 ページ: 113-123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] タクトの啓発と「ありうること」への開放――ヴァン=マーネンの省察理論と意味生成の沃野2013

    • 著者名/発表者名
      井谷信彦
    • 雑誌名

      『教育学研究論集』武庫川女子大学大学院文学研究科教育学専攻

      巻: 第8号 ページ: 1-8

  • [学会発表] 臨床教育学の妨げの石それとも礎石─「個別性」から「普遍」へ向かう方法論的課題─

    • 著者名/発表者名
      山内清郎
    • 学会等名
      日本臨床教育学会第2回研究大会
    • 発表場所
      都留文科大学
    • 招待講演
  • [図書] The Kyoto School and the Theory of Aesthetic Human Transformation, in: Standish & Saito eds. Education and the Kyoto School of Philosophy2012

    • 著者名/発表者名
      Takuo Nishimura
    • 総ページ数
      235 (65-76)
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2014-07-24  

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