研究課題/領域番号 |
24530957
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
尾島 卓 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50293270)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | PISA / 授業研究 / 言語活動 / 評価枠組み |
研究実績の概要 |
PISA型学力評価枠組みに基づく授業研究を岡山市内公立小学校において実施した。ビデオ等による授業記録の前には、授業構想にあたる学習指導案の検討を協力教員とともに行い、学力形成を目指した学習活動の仮説について合意を得るとともに、当該の教材を使った授業を実施することで生じる表現の変化が顕著に生じる授業場面を確定した。次に、実際に実施された授業場面をビデオカメラで記録し、さらに授業後に児童が作成した学習プリントの情報を収集することで、PISA型学力評価枠組みを検討するための基礎データの収集にあたった。 教科学習における言語活動を重視した授業実践は、現行学習指導要領の理解および教科書教材の普及にともない定着しつつあるが、授業改善の視点として学力評価の枠組みが活用されることは一般にまだ希である。単元を通した言語活動と習熟内容の変化を担当の教員のみならず、児童本人や児童相互に確認することを促進するPISA型学力の評価枠組みによる授業研究は、活用力向上のために構想・導入された新たな指導方法の効果を測定することのできる有効な手段であることが、協力教員からも引き続き評価された。 とりわけ、今年度の授業研究においては、単元後半の活用場面で用いる教材の工夫と児童自身による教材選択によって育成される授業内容構成過程への参加が、単に児童一人ひとりの言語活動を活性化させるだけでなく、教科学習の成果を活用して教科の本質に迫るPISA型学力を形成する可能性をもつことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
以前の授業研究の成果と課題に基づき収集する言語活動データを増やすにつれ、それらの整理と分類に一層の労力が必要となっている。 加えて、協力教員の教育活動を妨げないような形で授業実践を記録するために、分析の基礎作業である画像および文字データを電子情報へと変換する作業を担う大学院生の確保が困難になっている。 研究計画の進捗に伴うデータ収集の変化とそれらを加工する人的資源の不足から、今年度収集したデータの本格的な分析には着手しておらず、結果的に研究期間中に得た知見の総括も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
計画延長のための既に提出済みの申請書類に記載したとおり、昨年度収集したデータの整理と分類を急ぎ、昨年度実施した国語と体育の授業研究において得られた知見の分析を行う。また、これまで行った授業研究を総括し、言語活動の変化を評価枠組みとした授業研究に関する提言を最終報告集において検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
授業研究において収集した言語活動を電子化するための技術補助員の雇用ができなかったために人件費および謝金の支払を実施することができなかった。また、研究発表のための旅費に関しては、申請時の見積もりに比べ近隣地において開催される学会が多かったために残額が生じている。また最終報告書の作成分、その他の項目の経費が残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
確実な雇用計画を立て貴重なデータの整理を急ぐ。また、最終報告書の作成を行う。
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