本年度は、ワークシートやノートに固定される言語活動を授業研究における分析対象とすることで、教科内容に関する知識理解および技能習得の促進とその知識を活用した多様な問題解決行動とを構造的に分析する予定であった。 この「活用力」と学校における言語活動との相関は、文科省および国立教育政策研究所共催の「全国学力・学習状況調査」でも注目されている分析視点ではあるが、本研究で扱った事例は以下の三点において先進的である。まず、言語活動の導入が教科目標の達成と対立する教科における言語活動の分析に着手したことをあげる。従って、第二に、家庭学習のような正課時間外でも言語活動が仕組まれる体育のような教科では、事後に学習活動を反省することが学校における言語活動の活性化に対して重要な意味を持つと考えられる。同時にこのことは、学級集団やその内側にある小集団の目標達成の過程が、個人の言語活動に依拠しているという知見をも予感させる。 なお、本来であれば平成26年度前述した活用力の分析に着手する予定であった。しかしながら、身体表現およびその変化のデータ化し整理することと、それらと言語活動を総合的に分析する枠組みづくりに時間を奪われ、目標とする最終成果報告書を出すことができなかった。
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