研究課題/領域番号 |
24530960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
川本 龍一 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (50542908)
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研究分担者 |
阿部 雅則 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (40432786)
楠木 智 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70568823)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地域指向性尺度 |
研究概要 |
【目的】学生がどのような因子に基づいて進路を決定するか、また地域医療の崩壊、医師不足に対しどのような認識を持っているかを探る事で、地域医療に従事する医師数の増加を阻む要因を探る。 【対象と方法】対象は地方大学医学部の5年生74名、男性48名、女性26名、23.5±2.6(平均年齢±標準偏差、範囲22-36)歳であり、無記名アンケート方式で生涯勤務地の決定因子となりうる項目を19項目、医師不足問題の原因因子として考えられる項目を13項目提示し、各項目がどの程度重要視されるか4段階で評価してもらい、その結果を集約した。 【結果】学生の進路選択においては、主に自身の出身地や生活に関わる項目、続いて配偶者の意向が重要視される傾向にあり、出身大学、研修医療機関の所在地、医局の意向はあまり重要視されない傾向がみられた。地域医療の崩壊に関しては、その主な要因は知識として持ち合わせているものの、現実的な身近な問題として捉えていない傾向がみられた。しかし一定期間であれば、僻地、離島などで地域医療に従事してもよいと回答する学生も一定の割合で存在することが示された。地域医療の崩壊の予防対策として提示した項目、地域医療機関の実績の発信、医療の現状の提示、地域医療に関わる医師の講演の実施、現場での実習はいずれも予防対策として有効であるという認識を持っている事が示された。 【結論】学生の進路決定は、自身あるいは家族の意向といった、自身が認識しうる項目に基づいてなされており、学生にとって身近な問題となりにくい地域医療の崩壊に対し、積極的に取り組むという選択肢を学生は持ち合わせていないことが今回の調査で明らかとなった。従って、学生に対する地域の医療機関の積極的な情報発信や実習の斡旋により、学生の興味を持たせる事が、地域医療崩壊を防ぐ対策として必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・アンケート調査により、地域指向性に関するいくつかの項目を見出すことができた。 ① 実習前後に行うアンケート調査の分析 ② 実習を通して集積した学生のポートフォリオの質的分析と定量化 ③ ①②の検討結果から、地域志向性の尺度となる項目を抽出する。 ところまでは予定どうりに進行中。
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今後の研究の推進方策 |
・今年度はその項目をもとにした具体的な質問事項による地域志向性の尺度を開発する。 ④ 尺度を用いた定量的評価方法の確立 上記の解析結果から、専門職連携教育による学びの尺度となる項目を抽出し、数理モデルを開発する。例えば、地域医療を担う医療人育成においてプロフェッショナリズムと呼ばれる態度、価値観、チーム医療の実践、地域への関心、生涯学習等の能力などに関する質問項目よりなる地域志向性尺度の開発である。
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次年度の研究費の使用計画 |
・教育プログラムの妥当性検証と尺度の精度検証 ⑤ 教育プログラムの妥当性検証と精度検証 こで開発された尺度を用いて、新たに地域医療実習をうける学生を対象に実習前にアンケートを行い、実際の実習後のポートフォリオ分析との比較を実施し、尺度の検証を行う。 ⑥ 個々の学生の特性に応じた介入プログラムの構築 実習前の尺度内容に応じて、実習内容の改変を行い、その効果をみる。
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