研究課題/領域番号 |
24530964
|
研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
太郎良 信 文教大学, 教育学部, 教授 (20236772)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生活綴方教育 / 木村不二男 |
研究実績の概要 |
1930年代後半における雑誌論文や単行本の収集、リストアップを前年度に継続しておこなった。 その上で、綴方教育の動向をとらえるために、具体的な綴方に即しての評文に着目して、雑誌や評者による異同を検証する試みをすすめた。前年度から継続している作業によって、小砂丘忠義編集の『綴方読本』誌(郷土社)、千葉春雄主宰の『綴り方倶楽部』誌(東宛書房)、鈴木三重吉主宰の『赤い鳥』誌(赤い鳥社)の3誌のうち2誌の間において同一の綴方が掲載されて評が加えられている場合があることが分かってきている。そうした場合の綴方の評文の分析を行うことにより、綴方教育の動向が、具体的な形で把握できるものとみられる。 研究代表者の論文「木村不二男の綴方教育論の検討」(文教大学『教育学部紀要』第48集、2014年)は、『赤い鳥』誌の主宰者・鈴木三重吉に師事しつつ、他方では小砂丘忠義らの『綴方生活』編集同人でもあった木村不二男の指導作品に即して、鈴木三重吉と小砂丘忠義の評文の異同を検討したものである。三重吉は、ものごとの展開過程に応じて詳細に叙述していくことを求め、感想等を付記することを禁じた。小砂丘は、ものごと展開過程に応じて詳細に叙述していくこと自体は評価したものの、それをふまえての書き手の感想や考えが表現されることを求めた。木村の立場は、綴方が人間性をみがき社会性を身につけるものであるとの立場から、三重吉の示す文章表現技術に対しては評価しつつ、小砂丘の求めるものに共鳴するものであったといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献整理等の作業はほぼ終えている。分析と執筆を併行してすすめる段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究をまとめて、成果を公表していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、雑誌『綴方教育』(1926年~1941年)のうち、とりわけ1930年代後半以降の号のコピーないしは現物を収集して、内容の整理分析を終える予定であったが、関係文献の入手が遅れたため、予定の研究作業がおこなえなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
雑誌『綴方教育』の未収集分の収集と、内容の整理分析をおこなう。 研究費の未使用額は、複写費や購入費、データ入力のアルバイト代、調査旅費等に充てる。
|