研究課題/領域番号 |
24530965
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
土方 苑子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (50099909)
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研究分担者 |
山口 真里 駿河台大学, 経済経営学部, その他 (00573677)
高野 暁子 立正大学, 心理学部, その他 (10625213)
鵜殿 篤 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (20614499)
加島 大輔 愛知大学, 文学部, 准教授 (90555442)
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キーワード | 子ども / 家族 / 教育 / 教育学 / 学校衛生 / 教師 / 女性教育 / 貧困児童 |
研究概要 |
本年度は2年目にあたる。昨年から引き続き、各自の研究を毎月の研究会で報告して議論し、論文執筆が可能になった3論文の執筆・刊行をおこなった。 報告された研究の内容は「明治初年の家族と子ども・総論」「民法成立過程を中心に法令にみる親子関係」「貧困を主題とする図書の所在状況について」「明治初年の出版物で教師に関して問題となったこと」「衛生・子どもの養生書の内容報告」「英国の女子教育の受容について」「初期岡山孤児院の資料からみた子どもと家族」などで、各自が2度以上の報告をおこなった。参加者各自の従来からの関心や研究履歴に基づき、明治初期を中心に本研究の目的に沿って担当部分を明確にすることが第一の問題であったが、徐々に形が出来つつあると思われる。すなわち本研究の目的は、現在確定している「教育」の枠組みや既成概念にとらわれることなく、近代初めに家族・地域社会や生活・教育に関わると思われることを広く取り上げて、「学制」を跨いで、その時代に固有の教育観と教育の事実を見出そうとすることである。明治初期には江戸時代の出版形式がまだ残っており、そのような書籍も含めた教育についての検討はなされておらず、本研究の固有の意義は、これらの史料の利用とそこで得られた見地からのその時代の「教育」を再検討することにあるので、丁寧な図書の解読が非常に重要である。この点で本年は進歩があり、論文執筆も実現した。 それと同時に、外国をも含めた社会、家族、教育についての「理論的枠組み」の力をかりなければ、多くの「事実」を再構成できないので、今年度は比較教育史学会に参加するなどして、理論的に分析を進めることも開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は現在のところ計画通りにおこなわれているが、分野によって書かれている事柄の難易もあってまだ問題の入り口にいる者もいる。また違う分野を突き合わせて事実関係を析出しようとしても、実際に書物を探してみてどうしても合わせられる時期が見つけられない場合も生じている。これらは現実に史料に当たって初めてわかることでもあり、今後研究全体としてまとまりをつけることを試みるなかで、最終的に分析の条件を限定したうえでまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度にあたっており、各分野に分かれて読み進めて来た教育の様々な様態についてそのイメージを鮮明にして突き合わせ、その意味を明らかにする作業が必要である。現在の時点で生じている若干の進度の違いを合わせ、議論する時間を確保することが研究の成否を決めると思われる。早いうちにある程度の完成見通しを得て、各自が出来るだけ多くの時間をこの研究に充てる自覚をもって進めていきたい。 また史料を特色とする本研究の史料の意味を客観的にさらに明確にするために、関西地方の史料についての調査旅行を加えたいと思っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は使用する史料に特徴があり、そのことを明確にするために関西地方の図書館等への調査旅行が必要と考え、経費に計上していた。しかし研究代表者の健康上の理由で計画が立てられなかったため、後回しにしてしまったことが最大の理由だと考えられる。 調査旅行の実施の最大の障害となっていた健康上の理由がほぼ回復したので、早急に実施し、さらに史料を集めたい。また研究のまとめのために集まる機会も増やしたい。
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