研究課題/領域番号 |
24530967
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
湯川 嘉津美 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (30156814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学制布告書 / 学制改革案 / 府県聯合学事会 / 府県聯合設立高等学校 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究計画にしたがって、1880~1890年代の府県聯合学事会に関する史料調査・収集を引き続き行うとともに、収集した史料をもとに研究を実施し、成果の発表を行った。研究成果を示せば、以下の通りである。 第一に、府県聯合学事会に関する史料調査を三重県、京都府、福岡県、大分県、鹿児島県の公文書館等および奈良女子大学附属図書館で実施し、関係史料の収集を行った。 第二に、昨年度の『日本教育史研究』第32号掲載の拙稿の論評に対する批判論文(「竹中暉雄氏による拙稿「学制布告書の再検討」の論評に反論する-一次史料による史実の検証から-」)をまとめ、第33号(2014.8)に掲載した。同論文では、論評への反論だけでなく、学制の制定・公布過程の分析を行うためには、明治5年当時の法令制定経緯や法令公布・記録編纂のあり方、府県庁文書の性格についての理解が必要であることなど、従来の「学制」研究で見過ごされてきた諸点について一次史料を提示しながら論じ、学制研究における史実の検証の必要性を指摘した。 第三に、1884(明治17)年の文部省の学制改革案について、新たに発掘した府県聯合衛生会や府県聯合学事会における聯合学校構想、参事院の聯合府県会開設に関する調査報告、学制改革案に対する府県の意見などの史料分析を行い、府県の側から文部省学制改革案の教育史的意義を明らかにした(「1884年文部省学制改革案の教育史的意義-府県の動向に着目して-」『上智大学教育学論集』第49号、2015.3)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料調査・収集は計画通りに進展している。発掘した史料をもとに1884年の文部省学制改革案とそれに対する府県聯合学事会の動向に関する研究を行い、その成果を教育史学会において発表した。また、大学紀要に研究論文をまとめ、公表した。
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今後の研究の推進方策 |
史料収集が終了した東北各県聯合学事会について、それが地方教育行政に果たした役割と機能を分析し、論文にまとめる。また、1890年代の地方部学事会については、すでに西日本を中心に史料収集を進めており、その史料分析をもとに中央・地方の地方教育行政の展開に果たした地方部学事会の意義と限界について明らかにする。同時に、本研究において収集した史料を整理し、史料集の作成にあたる。
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