ニュージーランドの乳幼児教育における教員評価の制度について、これまで収集した資料をもとにその概要をまとめた。 第一に、ニュージーランドの乳幼児教育における教員評価制度の概要を把握した。教員の質の確保・向上という観点から教員審議会(NZTC)による教員登録制度が設けられており、登録教員基準(12の基準と指標)を満たすことが教員であり続ける上で必須とされている。教員評価は、登録教員基準に基づき教員の専門性を確認するものと位置付けられている。「登録教員基準及び専門職スタンダード(幼稚園:正規登録教員)との比較基盤表」が教員評価の基盤として活用されている。 第二に、幼稚園、保育センターにおける教員評価の実際を明らかにすることが出来た。幼稚園では教員評価に力を入れ、様々な資料、教員評価の記入表が開発、活用されていた。幼稚園協会により、達成度評価の有無、教員評価における専門的話し合い等の違いがみられた。保育センターでは、教員評価の考え方、記入の仕方、評価付けの有無等、多様な教員評価が存在することが明らかになった。 第三に、「ニュージーランドの乳幼児教育における教員評価に関する調査」を実施し、幼稚園の教員16名、保育センターの保育者21名、計37名から回答を得た。全体として教員評価の効果や意義を肯定的に捉えていることが明らかになった。「教育実践の向上・改善」「専門性の向上」に役立つ、「自分の教育実践を振り返る」「話し合いの機会」「フィードバックが得られる」ことが教員評価の利点として挙げられた。教員評価の問題点・課題としては、「時間」「仕事量の増加」が圧倒的に多かったが、評価する側の評価の仕方やサポートの仕方の問題を指摘する意見も出された。教員評価がうまく機能するためには、教員・保育者自身の態度や改善・保育への献身の気持ち、管理職のサポートやフィードバックが関わっていることが示唆された。
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