本年度は、戦後教育改革期における女子大学の設立について、①GHQ/SCAP文書中の女子大学教育関係文書、②女子教育研究会関係文書、③公立女子大学の設置関係文書、の調査・分析を行うとともに、④研究の全体的なまとめを行った。 ①については、昨年度以来の継続作業としてCIE文書の翻訳、分析を行い、その成果の一部を②の女子教育研究会の論文に利用した。 ②については、1946年8月に結成された女子教育研究会の活動内容と設立の意義を中心に分析し、早稲田大学教育学研究科のゼミ論集『日本教育史論集』(刊行は2014年9月)に掲載した。本論文では、同研究会が女子大学連盟(1947年4月結成)へと吸収合併されたことの意味を明らかにすることにも重点をおいた。 ③については、1949年に設立された熊本県立女子大学に関して、議会での論議や認可申請書などを、熊本県庁、熊本県議会図書館、熊本県立図書館で調査・収集した。 ④については、3年間の研究報告書として『教育改革期における女子大学の実態的研究 -教育理念と学部構成を中心として-』(全60頁)をまとめた。報告書の内容は、研究計画と研究成果報告から構成した。研究成果報告は、この3年間にまとめた論文の概要、資料解説、資料からなっている。研究成果の一部として、②の論文を再掲した。資料としては、研究の全体像が明らかになるよう、(1)女子医学専門学校の大学「昇格」関係資料、(2)女性の大学教育をめぐるGHQ/SCAP文書、(3)女子大学の設立関係文書に分類し、重要と考えられる資料29点を収録した。この他、大学基準協会における女子大学分科会と家政学基準委員会関係資料についても収集し、今後も本研究課題に即した研究を発展させる予定である。
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